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「ゆっくりしていってね!」 何処かから侵入して来た、金色のバッジをつけたれいむが俺に声をかける。 ゆっくりするも何も俺の家の庭だよ。 「ここはなかなかゆっくり出来そうなぷれいすだね。 れいむのおうちにするよ!」 戯言をほざくれいむを無視して庭のハーブに水をやる。 各種ミントやローズマリー、レモンバーム、他にも色々。 今日は少し暑いし、ミントティーでも作ろうか。 「お兄さん!ここはれいむのおうちだよ!お兄さんはゆっく…」 バンッ! れいむに当たらないように注意しながら、思い切り地面を踏む。 れいむはビクッと体を震わせる。 「いいか。お前は俺の家の庭に勝手に入ってきている。 本来なら踏み潰されても文句は言えないんだ。 今すぐ出て行け。忠告したからな。不細工な餡子脳でも俺の言った意味位わかるな?」 「どうしてそんなこというのっ!? れいむはかわいいんだよっ。 わかった…おにいさんはゆっくりできないばかなひとなんだね! どれいにいってこらしめてあげるよ! もうこうかいしてもおそいよ!」 キラリと金色に光るバッジを見せつけながら自信満々に台詞を喋るれいむ。 現在位置発信機能搭載型か。都市部でよく見る型のバッジだな。 緊急ボタンを押せば飼い主が契約してるセキュリティー企業から派遣された 業者が駆けつけてくるはずだ。 業者が家に入るのを拒むことも出来るが、その場合は飼い主が血相を変えて 怒鳴り込んでくるだろう。 場合によっては、ゆっくりを誘拐したとか言いかねないかもしれない。 下手すると裁判所から手紙が来ることになる。 「そのバッジがどうかしたのか?」 「ゆゆっ!きんいろバッジのかちもわからないなんて、ほんとうのばかだね! このバッジはすごいんだよっ。とくべつなゆっくりにしかあたえられないんだよ!」 「へぇー」 「ゆっくりショップでもきんいろバッジをつけているゆっくりはめったにいないよ! こんなすばらしいれいむをみられるだけでもかんどうものなんだよ! それにこのきんいろバッジのボタンをおすと、どれいがすぐにくるんだよ。 ゆっくりできないばかはゆっくりしないでしんでねっ!」 確かに金色バッジをつけられるゆっくりは多くない。本来ならば。 最近は飼い主の見栄から大金を積んで金色バッジを獲得したゆっくりも増えている。 目の前のこいつは本当は銅色バッジですら危ないだろうに…よく飼う気になったもんだ。 手のかかるゆっくりほど可愛い、という変態かね? お下げを使って器用に金色バッジのボタンを押すれいむ。 おそらく業者は10分もしない内に来るはずだ。 れいむはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。 ゆっくり種対象のセキュリティ企業によって構成されている、ゆっくりセキュリティ協会で 公表されている統計データを思い起こす。 そのデータでは緊急ボタンを押したゆっくりの生存率は5分で7割、8分で5割 10分を過ぎると3割以下になると書かれていたはずだ。 ゆっくりという生き物の脆弱さを考えれば至極普通の数値だろう。 事実ゆっくりセキュリティ協会のサイトでも飼いゆっくりを自由に外に出すことは危険だと 強調している。本来ゆっくりなんて外に出していい生き物じゃない。 きっちりとした教育を受けたゆっくりならば飼い主と一緒ではない限り外に出たりしない。 もし外に出たとしても決して飼い主の目の届かない距離には行かない。 飼い主の保護を直接受けられない場所へ出て行くことが極めて危険であることもわからないのが ゆっくりらしいといえばらしいのだけど。 そしてそのゆっくりらしさが企業の儲けの源泉でもあるのだろう。 なおセキュリティ各社で多少の差はあるものの、現場に派遣された業者が到着するのは平均8~10分は かかるようだ。 結果的に業者の仕事の半分以上は死骸回収になる。 だからかセキュリティ企業に勤める人は意外と虐待派もいるらしい。 飼いゆっくりがどんな最期を迎えたのかを想像することが、この上なく楽しいと思うタイプの人には 向いているのかもしれない。俺は想像よりは虐待する方が好きだけど。 今回も業者の人の仕事は死骸回収作業になるだろう。 飼い主のクレームを受けるのも仕事の内だろうから同情はしない。 一度部屋にもどって今回の道具を持ってくることにする。 虐待用に使用している部屋の扉を開けると、中に居るゆっくり共が皆こちらを不安そうな顔で見る。 俺が胴付れみりゃ親子のゲージの前に来ると部屋の中の空気がさらに緊張したものとなる。 いつも自分達の赤ゆっくりを食われたり、おもちゃにされたりしているからな。 他ゆっくり向け虐待道具として飼っているが、俺はれみりゃが嫌いだ。 しゃべりかたが特にイラッとくる。何がおぜうさま(笑)だ。肉饅め。 れみりゃを理不尽に暴力で死の手前まで追い込むことなど日常茶飯事で、子れみりゃは3匹生まれたが 既に2匹は俺の気まぐれな虐待で死亡している。 残りの1匹もおぜうさまとしての矜持などとっくの昔に粉砕されて、ストレス過多でいつ死んでもおかしくない。 そんな腐りかけた肉饅の子れみりゃでも、俺が虐待すると親れみりゃは気が狂わんばかりに大声で無様に泣き叫ぶ。 美しき親子愛だね。死ねよ。 電話が鳴っている。 おそらくれいむの飼い主が契約しているセキュリティ業者が、俺の家に迷い込んだれいむを保護する許可を求める 内容だろうから無視。 聞いた話では保護に協力するとセキュリティ業者から謝礼と場合によっては飼い主からのお礼が届くらしいが 俺は別に謝礼が欲しい訳じゃない。 「むーしゃ、むーしゃ…それなりー」 窓から庭のハーブを齧りながら勝手な感想を言う餡子餅の姿が見える。 携帯電話のカメラ機能でハーブを齧るれいむを何枚も撮る。 「れみりゃ。さっき俺が言ったこと理解しているな?」 「はいっ!あのれいむをゆっくりできなくすることですっ!れいむであそんだりしません!」 ビクビクと怯えながら返事をする親れみりゃ。 「そうだ。もし上手く出来れば、おまえら親子をあの部屋から出してやってもいいぞ。」 「はいっ、がんばります!」 親れみりゃは極度の緊張と現状を打開する微かな希望に満ちた声で元気よく返事する。 子れみりゃは親れみりゃの後ろに隠れて俺を伺っている。 れみりゃ親子をれいむから見えないように配置してから、れいむへ声をかける。 「…ハーブ美味いか?」 「ゆっ、まだいたの?この草ふしあわせーじゃないけど、しあわせーでもないよ。 れいむはもっとあまあまのようなものをたべたいよ! はやくもってきてね。ぐずなばかでも、あまあまをもってくることはできるよね? はやくもってこないとれいむ、おこるよっ!」 ぴこぴことお下げを動かしながら、ぷくーと膨れ面をするれいむ。 「そうか。あまあまは残念ながらないけど、肉饅ならあるぞ。」 「あまあまがないなんてやっぱりぐずなばかだね!しょうがないからにくまんでゆるしてあげるよ。 かんだいなれいむにかんしゃしないとだめだよ!」 「まあそう怒るな。可愛い(失笑)れいむが台無しだぞ。 ほら、肉饅だ。二つあるから二つともやるよ。」 うっうー!とキモい声で鳴く肉饅を両手で掴んでれいむの眼前に差し出す。 今まで眼前の人間よりも自分が優位に立っていた(と勝手に思い込んでいた)れいむの顔色が 真っ青になる。 「ぞれ゛はに゛ぐま゛んじゃないでしょー! い゛や゛ぁぁぁ!!れみりゃ、い゛や゛だぁぁぁ!!!」 「おぜうさまのためにぎせいになるんだどぉ!」 「ぎせいになることはとってもめいよなことなんだどぉー!!」 必死で逃げるれいむ。そのれいむに自分たちの未来がかかっているので必死でおいかけるれみりゃ親子。 本来捕食者と被捕食者の関係にある両者が競争すれば、結果は明らかだ。 がしっと親れみりゃの右手がれいむをつかむ。 普段ならば本能的に捕まえたゆっくりを虐めて中身の味を向上させるのだが、今回はそんなことを しれいられない。そのままがぶり、と親れみりゃがれいむを齧る。 「い゛だい゛よぉぉぉー!!!ぐずはみてないではやくたすけろぉぉぉ!!!」 「ん~?いつものれいむとあじがちがうどぉ。なんだかいいにおいのするれいむだどぉ~ いっしょにたべるどぉ~」 かぷり、と子れみりゃもれいむを齧りだす。 「おいしいどぉ!これはおぜうさまにぴったりなえれがんとなあじだどぉ~ …これはおいしくないからポイだどぉ~」 食べられない金色バッジを放り投げる子れみりゃ。 二匹のれみりゃがれいむを浅ましく貪る。 「や゛め゛でぇぇぇぇ!!!れいむたべないでぇぇぇ!!!」 だがれみりゃ親子にはれいむの台詞など耳に入っていない。 「おーい、写真とるぞー こっち向けー」 「きれいにとってほしいんだどぉー!」 「おぜうさまはみんなのにんきものなんだどぉー」 「はいはい。ほら、撮るぞ。れいむを真ん中にして撮るから。」 パシャ、パシャと数枚の写真を携帯電話で撮影する。 口元を汚した二匹のれみりゃが、口元の汚れの原因のれいむと仲良く一緒に写っている。 「も゛うやだぁぁ…れ゛いむ゛…おうち…かえ…る… だれか…だすげ…ろぉ…はやぐぅぅ…!」 既に餡子が出すぎたため、放置していても死ぬのは確実だ。 確実だけど、最期にれいむに絶望で彩られた素敵な思い出つくってあげないとね。 「 ゆ っ く り し ん で ね ! もう助からないよ。絶対に。 オレンジジュースのペットボトル丸ごとかけても無理だから。 あとさ、お前おうち帰るって言わなかった? お前のおうちは此処だろう、れいむ。 さっき自分で言ったじゃないか。『ここはれいむのおうちだよ!』って。 もう忘れたのかな?ばかなの?れいむだからばかなの?」 「ゆぎぃ…の゛ろ゛っでや゛るぅ…じねぇ…じんで…じま゛え…」 「お前等に呪われる度に死んでたら命幾つあっても足りねえよ、ボケ。 そんなこともわからないんだねーかわいそうな子なんだねー」 「あ゛あ゛…あ゛…も゛っ…どゆ゛っ…くり…じたがっだ…よ゛…」 クワッと目を見開くれいむ。 れいむの黒目がぐるり、と上へ向き意識によって体内に止められていたうんうんを垂れ流し出す。 お金持ちの飼いゆっくりの座という、ゆっくり達が捜し求めるぷれいす中でも頂上に位置する ゆっくりぷれいすを手に入れながら、生来の愚かさ故にそのぷれいすを失ったれいむは今死んだ。 残り少ないハーブ入り餡子饅頭をれみりゃ親子は幸せそうに頬張る。 与えられた任務が達成できた喜びを気色の悪いおぜうさまダンスで表現する親れみりゃ。 子れみりゃも親れみりゃにつられて拙いダンスを披露する。 餡子でべちゃべちゃに汚れた口からうっうー、と耳障りな間延びした 声を出して踊るれみりゃ親子。 足元には金色バッジと2本のお下げ、それとれみりゃに踏まれて 土だらけの2つのリボン。 呼び鈴がなった。 予想通り業者の人だった。 飼いれいむがいる筈なので保護させてほしい、と。 名刺を貰ってから、素直にれいむが居た場所へと通す。 れいむだった残滓を見て業者の人はため息をつく。 「一応確認なのですが、貴方がやった訳ではありませんね?」 「ええ。『たまたま居た』れみりゃ達が、探されているれいむを食べてしまいました。 見てましたから。」 「では、貴方はれみりゃに襲われているれいむを助けなかったんですか?」 「はい。ああ、飼いゆっくりに危害を加えることが条例で禁じられているのは勿論わかっていますよ。 でも条例では危害を加えるのが禁じられているだけで、勝手に私有地に入ってきた上に 人の物を荒らす馬鹿で間抜けな飼いゆっくりを保護する義務なんて、どこにも記載されて いませんから。私の言い分、何か間違っていますか?」 「間違ってはいませんが……あの、貴方はゆっくりが嫌いなのですか?」 「嫌いなゆっくりもいる、というのが一番わかりやすいでしょうね。 れみりゃは嫌いです。存在そのものがイラッとするんで。 残りのゆっくりは特にどうとも思いません。ただ人の土地に入って自分のおうちだ、とかいう 馬鹿は種類を問わず大嫌いです。きっちりと躾けられた飼いゆっくりや、ゆっくりという身の程を わきまえている分別ある野良ゆっくりはむしろ好きな方かもしれませんね。」 「そうですか… では一応このれみりゃ2匹をれいむを殺害したということで処分する、という形にしたいのですが宜しいでしょうか?」 「勿論ですよ。煩いでしょうから、1匹今潰しますよ。」 相手の返事を聞かずに子れみりゃを頭から踏み潰す。 靴の下からなかなか食欲をそそる匂いが立ち込める。 「そんなことしなくて良いですから!こちらで全て処分しますから!」 「そうですか?じゃ、お願いしますね。」 「れいむとれみりゃを入れる袋とってきますから、その間その大きな方のれみりゃ捕まえていてください。 潰さない様にしてくださいね!」 親れみりゃを見るとまだ状況を把握しきれていないのか、呆然とした表情で潰された子れみりゃを 揺すっている。 まるで眠ってしまった子供を優しく起こす母親だな、とふと思った。 夢から覚めないと駄目なのは親れみりゃの方だけど。 親れみりゃの顔に足を近づけて、子れみりゃの顔だったものを見せる。 さっきより可愛くなった子れみりゃと感動のご対面だ。 顔をくしゃくしゃに歪める親れみりゃ。 そりゃそうだ、もう虐待されなくて済むはずだったのに。 最後に残った1匹とようやく幸せに暮らすはずだったのにね。 もう無理だもんね。あはは。 「れ、れみりゃの…れみりゃのぶり゛でぃ゛ーな゛ごども゛がぁぁぁぁ!!!! どおして…どおしてぇぇぇ!!!?」 「黙れよ。お前のその声、俺は大嫌いなんだ。 少し静かにしろよ。 それにしてもお前等、本物の馬鹿だったんだな。 飛んで逃げればよかったのに。背中にある羽根は偽物か?」 うつ伏せになる様に背中を踏みつけながら声をかけてやる。 俺が喋った羽根を使って飛んで逃げる、という手段に気づいた親れみりゃは 必死で逃げようとしている。れみりゃを潰さない様に足に加える力を加減する。 ジタバタともがく様子はお嬢様どころか亀だ。 でも、俺はおぜうさまダンスを踊ってる時よりも今のその姿の方が好きだよ。 その間抜けな短い手足がとってもぷりてぃーだよ、れみりゃ。 「袋取って来ましたから、もう離して良いですよ。」 「あ、そうですか。じゃ、お願いしますね。あと念のためもう一度言っておきますが、このれみりゃは 野良のれみりゃですから。私は自分の飼うゆっくりにはちゃんとバッジつけて、家の中で飼いますし。 もしも外に出るときには私から絶対離れない様にしますんで。」 業者の人は俺の皮肉に気づいているのだろうけど、特に反応せずに親れみりゃと、子れみりゃだった肉饅 それにれいむのお下げ、リボン、金色バッジを袋に詰め込む。 「ご迷惑おかけしました。回収作業終わりました。」 「あ、そうだ。もしれいむの飼い主さんが何か言ってきたらこの写真見せてあげてください。 れいむが私の庭で育てているハーブを勝手に食べている写真、れみりゃ達がれいむを 食べている写真です。先程頂いた名刺に書かれているアドレスに送っておきますので。」 「…ありがとうございます。では、失礼致します。」 全くそう思っていない口調で挨拶すると、業者の人は去っていった。 袋からはれみりゃの叫び声が漏れ出している。悲しみと怒りと絶望が良い感じにブレンドされている。 酷く醜く、それでいて妙に心地よい響きだ。 あの親れみりゃに待っている未来は、せいぜいれいむの飼い主の持って行き様の無い怒りの 発散道具か、加工所行きのどちらかだろうなぁ。 ま、どっちになるにしても残りの余生をゆっくり楽しく過ごしてね。 ばいばい、れみりゃ。 後書き 初めてゆっくり虐待もの書いてみました。 今までは見てるだけだったのですが、ふと書いてみたくなりまして。 バッジの色を金で左右できるとか、ゆっくり向けのセキュリティーサービス企業とか 思いついたものを勝手に入れてます。 少しでも面白いと思ってくだされば幸いです。 またアイデアが浮かんだら気ままに書いてみたいと思います。 このSSに感想をつける
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※ゆっくりめーりんの設定はゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくりの人の設定をお借りしています。 勝手にお借りして申し訳ありません。 今日もゆっくり達は、仲良くゆっくりめーりんを虐めていた。 「ゆっくりしないで! はやくご飯をとってきてよ!」 「ごはんとってこれないめーりんは本当にやくただずだよ! もうあいてにしないよ!」 「あなたってほんとうにさいていのくずね! とかい派のありすがいなか臭いあなたにずっとつきあってあげてるんだから早くごはんをもってきて!」 それぞれが好き放題に叫びながら飛び跳ね、めーりんを押し潰そうとしていた。 皮が丈夫なめーりんは決して潰れたりはしないが、四方八方から攻められ、体は激しく痛みを訴えている。 普通なら悲鳴を上げそうなところだが、ゆっくりでも珍しく喋れないめーりんはただみんなから一方的に攻められ続けた。 暴行が行われている草むらの片隅では、ゆっくりぱちゅりーが器用にページをめくりながら本を読んでいる。一度も、目を逸らすことはない。 普段通りの光景に、目を奪われる理由がなかった。 「はやく探してきてね!」 「みつかるまで戻ってこないでね!」 2匹掛かりで突き押され、めーりんは大きく吹き飛ばされる。 倒れためーりんに駆け寄るものはいない。そもそも暴行が終わればすぐに、ゆっくり達の中ではいないことになっている。 しばらく倒れたままだったが、ゆっくりと体を起こすと、めーりんはそのまま餌を探しに森へ入っていった。 目尻を下げ、終始、やせ我慢の笑みを浮かべていた。 樹の根本に多くの芋虫を見つけ、泣きそうな顔で口に咥えてゆっくり達の元へ持って行っためーりん。 もちろんめーりんに分けることなく、ゆっくり達は「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」と持ってきた芋虫を食べ尽くした。 ただ唯一、ありすだけは「とかい派にいもむしなんて、どうしてあなたはそんな最低なくずなの!」と罵りながら食べていた。 ご飯も食べ終わり上機嫌なゆっくり達に、めーりんは近寄っていく。ご飯を必死に探して疲れているめーりんだが、みんなと遊びたい気持ちが疲れた体を自然と動かす。 しかしゆっくり達にとって、めーりんは餌を手に入れたらもう用はなく、まるで汚いものを払うようにめーりんを追い遣った。 「きょうはどこでゆっくりする?」 「大きな木の下でみんなでゆっくりしよう!」 「むきゅー、本を読んでゆっくりする」 「わたしがみんなにとかい派のゆっくりの仕方をおしえてあげるわ!」 めーりんを放っておいて、ゆっくり達はみんな揃ってどこかへ行ってしまった。 空気が重くなる。 項垂れるように下を向いていためーりんだが、やがて顔を上げると、ゆっくり達とは反対方向へ進んでいく。 今日も、あそこへ行こう。 そう思いながら、元気に飛び跳ねていった。 大きな段差の目立つ道を、めーりんは飛び跳ね、たまに転がり落ちたりしながら進んでいく。 普通のゆっくりなら進めそうにない荒れ地も、頑丈なめーりんならどうにかなる。 そして最後の段差を飛び越えて森を抜けると、辺り一面に匂いを漂わせる花畑にたどり着いた。 何度も見ている風景だが、花好きのめーりんはいつも森を抜けた瞬間、目を輝かせて喜んでしまう。 「……」 森の方からやって来る赤い髪を見つけ、ゆっくりゆうかは思わずため息をついた。 ゆうかは、ゆっくりの中でも生まれつき植物を育てられる珍しい種族だ。 意図して歩けば土が耕せ、意図して念じれば口から種が出せる。 わざわざ狩りに行かなくても自給自足でき、その余裕がゆとりを産んだのか、育てている植物には愛でる為の植物まである変わり種だった。 そんなゆっくりゆうかだが、他のゆっくり達との仲は悪い、お互いに敵対している。 ゆうかは、見つけたらすぐに食料だと花畑や畑を荒らすゆっくりに憎悪を持ち。 ゆっくり達は、食料を独り占めしたがるゆうかに怒りを覚えていた。 せっかく育てた植物たちを一瞬で台無しにされては敵わず、ゆうかは森の奥や山奥に住んでいるものの、住処は巧妙に隠し、自身も危険を感じればすぐさま身を隠し、見つからないように注意していた。 そんなゆうかを、めーりんは数日前、餌を探している最中に偶然見つけていた。 油断したと、ゆうかは激しく後悔している。 ゆうかは近づいてくるめーりんを歓迎してやるつもりもなく、花畑の手入れを続けていく。 めーりんも慣れたもので、そんなゆうかの態度に微笑みながら、近くの樹にもたれかかった。 そこから見える4色のキャンバスが、めーりんの心をゆっくりさせてくれた。 後ろから感じる熱烈な視線に、ゆうかはげんなりしていた。 初めてここに来て以来、あの赤い髪のゆっくりはずっとここにやって来るが、そんなに暇なんだろうか? 初めに「他のゆっくりには話すな」と釘を刺しておいたが、それ以後も他のゆっくりはここには来ていないので、約束は守っているらしい。 1度も話した事がないため、ゆうかめーりんの真意が掴めないでいた。 手入れを終え、ゆうかは渋々めーりんへ近づいていく。 いつもは鬱陶しいので無視していたが、今日ぐらいは話をしてやろうか。そんな事を思いながら。 すると、めーりんは樹にもたれかかったまま眠っていた。 「……」 その幸せそうな顔に、ゆうかは怒る気も失せた。 めーりんの隣でゆうかも樹にもたれ掛かる。 「……」 そこから見える、花たちの喜んでいる姿。 心地よい風景に、寝てしまうのをどこか納得しながら、ゆうかはゆっくり過ごしていった。 ゆっくり達はゆっくりしながら話し合っていた。 内容は、最近のめーりんは虐めてもすぐに笑って気持ち悪い、なに? 死ぬの? という内容だった。 「あんなににこにこしてるなんて、ゆっくりできないよ!」 「それにえさを見つけてくるのがさいきんおくれてるよ! ゆっくりするなっておしえこまないと!」 「あんなさいていのクズがにこにこしているなんて、とかい派からみてもいじょうだわ! なにかりゆうがあるのよ!」 「むきゅ、ゆっくり原因をかいめいしましょう」 ゆっくり達のエサ探しも終わって、めーりんがいつも通りゆうかの花畑へ向かっていく。 今日のめーりんは、エサを探している時から終始ご機嫌だった。 一緒にいるゆっくり達に1度も虐められなかったのだ。 小さい頃、道ばたに1匹で泣いていためーりんを拾ってくれて以来、初めての事に、めーりんは人生でもっとも上機嫌になりながら、花畑へと向かっていった。 めーりんがまず目にしたのは、地面に横たわるゆうかの姿だった。 「むきゅー。ゆうかとつるんでいたなんてわからなかったわ」 「もうちょっとでゆっくりできなくなるところだったね!」 「あいつはほんとうにさいていのクズね! いなかものがいなかものと一緒にいるなんてさらにたちがわるいわ」 倒れているゆうかに、3匹はさらに攻撃を加えていく。 ゆちゅりーは後ろにいたうーパックに声をかけた。 「うー♪」 「むきゅ。運んでくれてありがとね。お礼にたくさん食べていっていいわよ」 「う~♪」 許可をもらって、うーパックはたくさんエサの見える花畑へ飛んでいく。 ゆうかの自慢の花畑は、今や何十匹というゆっくり達に荒らされていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「うめぇ! メッチャうめぇ!」 「うまい! もういっぽん!」 昨日まで元気に空へと伸びていた茎は、歯ごたえがいいとゆっくり達に噛み砕かれ、大きく開いていた花びらは甘いデザートと飲み込まれている。 愛でるなんて感情のないゆっくり達は、自分が先だと必死に口へ放り込んでいった。 めーりんがなぜにこにこしているのか原因を調べようとしたゆっくり達は、まずうーパックに、めーりんの後をつけるようにお願いした。 すると、ゆうかとめーりんが密会している事実が発覚する。 ゆうかがこの近くにいると知ったゆっくり達は、この近くにいた群れへその情報を売り、一緒になってゆうかの住処へと攻め込んだのだ。 元々捕食種なゆうかも抵抗したが、多勢に無勢。今や瀕死となって這いつくばっている。 ゆうかは後悔していた。 めーりんと勘違いして隠れなかった自分の迂闊さに、激しく後悔していた。 新たに感じた衝撃に、ゆうかの意識は途切れまぎれになる。 このまま殺されるのか……。 心が挫けかけたゆうかに、ふと森の出口で震えているめーりんの姿が映った。 突然こっちを見たゆうかに固まるめーりん。どうしたらいいのかわからない。 ゆうかはそんなめーりんを。 憎悪を込めた目で睨みつけた。 めーりんの心を罪悪感が蝕む。 ふと、そのまま動かないめーりんを見て、ゆうかは正気に返った。 話した事はないが、今まで何ども顔を合わせた仲だ。どういう性格かは、なんとなくわかっている。 一瞬、ここの場所をばらしたのかと思って睨み付けてしまったが、そんなことをするゆっくりじゃなかったと思い直した。 ゆうかは思う。 もしまたゆっくりできたら謝らないと……。 ……その時こそ、話せるかな。 「ゆっくりしね!」 頭上から聞こえた声と共に、ゆうかの体を激しい衝撃が襲う。 その一撃で、ゆうかの意識は遠のいていった。 「やったねまりさ! これでゆっくりできるね!」 「そうだねれいむ! いっしょにゆっくりしようね!」 「とかい派のありすもわすれちゃいやよ!」 喜び合う3匹。1匹だけ離れたゆちゅりーも笑顔で応える。 その様子が引き金となって、めーりんは飛び出していった。 「ゆ?」 飛び出してきたのがあのめーりんだと気づくと、ゆっくり達の雰囲気が一変した。 「……なに、あなた」 「……ちょうしにのってるなら、ゆっくりさせないよ」 睨まれても怖じ気づかず、めーりんはゆっくり達を見据える。 全力で、目の前のゆっくりまりさへ突撃した。 「うおっ!」 「まりさっ!?」 ゆっくり達の悲鳴が上がる。 「……っ!」 めーりんは生まれて以来、初めて浮かべた険しい形相で、ゆっくり達に立ち向かっていった。 「うーんしょ、うーんしょ……」 「むきゅー、むきゅー」 「ぱちゅりー、むりしなくてもだいじょうぶよ。ゆっくりすすんだらいいわ。とかい派はゆうがにこうどうするものよ!」 「ゆっくりがんばろうね!」 お互いに塞がった口でどうにか声を掛け合って進んでいく。 加えているのはゆっくりの角。 めーりんの厚い皮がどれぐらい伸びるかと思い、4匹は引き延ばし続けていた。 「……ッ!!」 めーりんの体が痙攣する。今までにない激痛に白目を向き始める。 「むきゅ、これぐらいがげんかいかも。けいれんしているわ」 「そうね! いなかもののさいていなクズじゃこれぐらいがせいいっぱいよね!」 「それじゃゆっくりうまくやろうね!」 体長が30センチほどだっためーりんが、凧型に2メートルほど伸びたところで、ゆっくり達は口を離し、戻らないように体で咥えていた先を踏んでおいた。 しばらくすれば、めーりんは2メートルの凧で固定され、二度と歩き回る事はできなくなるだろう。 めーりんを下敷きにして4匹がゆっくりしていると、うーパックがゆちゅりーのところへやって来た。 「うー♪」 「そう、こちらこそおつかれさま」 律儀に、別れの挨拶をしに来たらしい。 そのまま飛び去っていこうとしたうーパックに、ふと、ゆちゅりーは声をかけた。 「むきゅー、ごめんなさい。さいごのしごとをたのめるかしら」 「うー?」 うーパックに仕事の内容を伝える。 「うー♪」 了解したと返事をすると、うーパックはその場から飛び去り、しばらくしてまた戻ってきた。 「こっちこっち」 「うー♪」 ゆちゅりーに指示され、飛ぶ位置を変えていく。 指示通りの位置へたどり着いた事を確認すると、うーパックは中のものを落として飛び去っていった。 突然、響いた衝撃に意識を失いかけていためーりんの目が動く。 落ちてきたのは、ゆうかの死体だった。 「……っ!?」 「なかよしだったでしょ? あげるわ」 ゆちゅりーの声もめーりんの耳には入っていない。 歯を鳴らし、ただ置かれているゆうかの体に震えている。 めーりんの広がった皮へ、俯せになるようにゆうかは置かれている。 しかしその体が突然起き上がり、あの目で睨まれる姿がめーりんの脳裏に映っていた。 怖かった。 ゆうかの、憎悪の込められた目が怖かった。 恐怖の限界を超えためーりんは、完全に白目を向いて気を失う。 しかし、ゆうかのように死ぬことはない。 4匹にめーりんを連れて帰るつもりなどなかった、このままここへ放置していくつもりだ。 目が覚めれば動けないまま、めーりんの目の前にはゆうかの頭が待っているのだ。 めーりんはここで餓死するまで、恐怖に震える事だろう。 4匹の楽しげな声が辺りに響く。 まるで、ゆっくり出来ないめーりんを祝福しているようだった。 End ワンパターンという名のお約束展開。捻りのなさに俺が泣いた。 たぶん虐めた奴への報復虐待ネタは誰かが書くと思うので、あえてめーりん虐めで。 あの皮の破れないめーりんを限界まで引き延ばし、その上に親愛なゆっくりの死体を置いてやりたかった。 めーりんは、涙目が、可愛いな。 ゆっくりゆうかの設定は、151氏の不安定性突然変異?の設定を参考にさせてもらいました。 ありがとうございます。 なんだかあいつら生きててすっきり出来ないぞという人は、 別の人達が4匹に制裁する続きを書いてくれたのでそちらをどうぞ。 ゆっくりいじめ系368 ゆっくりメーリン 幽香×ゆっくり系7 ゆっくり後悔し続けてね! 幽香×ゆっくり系8 ゆっくりメーリン2 by 762 このSSに感想を付ける
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ゆっくりしっかく はしがき はじめに断っておかねばならない。 以下の文章は、私がまりさの話を聞いて、書いたものである。 私がまりさと出会ったのは、丁度今から一年位前のことで、 そのときまりさは、既にだいぶ老いたゆっくりだった。 体中に傷を負い、帽子は破れ、片目は潰れていた。 制裁か、事故か、虐待か、もっと他の理由か、それはわからない。 腹を空かしていたようなので、私は気まぐれの善意でまりさを自宅に連れ帰り、 いくらか餌をやったら、以下のようなことを私に語ったのである。 だから、文章の大筋はまりさの経験、ゆん生に即しているが、私の空想も多分に含まれている。 本文の中で“自分”としているのは、このまりさのことであるが、 その“自分”の言葉、行動、感想などは、一部を除いてほとんどが、私の想像である。 まりさとはすぐに別れたので、今この瞬間、まりさがどこで何をしているか、私は知らない。 おそらく死んだものと思われるが、断言は出来ない。 とにかく、私は私がまりさから聞いたことの一部始終を、誰かに聞いてほしかった。 だからこの文章を書いたのである。 まりさは賢いゆっくりで、沢山のことを記憶し、私に語ってくれた。 その体験はゆっくりとしては稀有なものと思われるので、 読者諸鬼意山の興味をそそるような事があれば、これ幸いである。 ゆっくりしっかく 恥の多いゆん涯を送ってきました。 自分はまだ子ゆっくりの頃に、いろんなことがあって故郷の森を飛び出しました。 そして、なんの当ても無く、ただただ歩きました。 歩いた先に、人間さんの住む街が見えましたが、自分はそこで疲れ果て、倒れました。 そんな自分を、助けてくれたのは、街に住む、ありすでした。野良のありすです。 自分にはありすの餡(正確には、餡ではないのですが)が流れています。 だから、ありすはそれを感じて、哀れに思ったのかもしれません。 ありすは自分を、分厚い、茶色い紙さんで出来た、ありすのおうちへと案内してくれました。 ありすは元々、人間さんに飼われていたらしいのですが、 その人間さんが他の土地へ移るのと同時に、捨てられて、それで野良になったのだそうです。 ありすは自分に、食べ物をくれました。お魚さんの頭と、お野菜さんのヘタでした。 少し酸っぱい臭いがしました。味は覚えていません。 ありすに「もうすこし、ここにいてもいい?」と聞くと、 「ええ、いいわ」とだけ、答えました。 それ以来、しばらく私はありすのおうちに居座ることになりました。 丁度、雪さんがちらつく季節で、私もありすも凍えるようでした。 ありすと私は頬を寄せ合い、寒さを凌ぎあいました。 ありすに、「かぞくは、いないの?」ときくと、「いないわ」と答えました。 「おちびちゃんが、ほしくないの?」ときくと、「ほしいわ」と答えました。 そして自分の方に、余計に擦り寄ってきました。 自分は森に、妻のれいむを遺してきていました。 れいむに嫌な所はありませんでしたが、その母親が、嫌でした。 れいむの母親は、長の従姉妹かはとこ(記憶が曖昧で、よく覚えていません)で、 常にそのことを鼻にかけているところがありました。 何かあれば、「れいむはおさのゆんせきなんだよ」と、自分を脅し、 自分の狩って来た獲物をゆすり取る始末でした。 さらにひどいのは、自分に対して、良からぬ事を求めてきたことでした。 自分は拒みました。拒めば相手も一旦は退きましたが、 すぐにまた、同じことを要求して来ました。 とうとう自分は、逃げました。なんの罪もない妻を置いて、群れを捨てました。 そしてただなんとなく、この街に来て、すぐに、あのありすに会ったのでした。 ありすとの間には、沢山のおちびちゃんが生まれました。 たしか、雪さんの溶けた頃でした。自分にそっくりなまりさが、一匹生まれました。 なぜか、自分はそのおちびちゃんを可愛いと思いませんでした。他のおちびちゃん達も、同じです。 ただの饅頭にしか、見えませんでした。 ありすが喜んでいたので、自分もそういう振りをしましたが、内心では全くの無感動でした。 おちびちゃん達が生まれても、自分はしばらく、ありすと一緒にいました。 しかし、食べ物は溢れていても、常に危険が付きまとうのが、この“街”というところでした。 ゆっくりは、人間さんたちから“いきもの”と認められていませんでした。 自分達は、“ナマモノ”と呼ばれていました。 ナマモノというのは、お魚さんや、牛さんや、豚さんの死んだものと同じ呼び方です。 つまりその程度の扱いしか受けませんでした。あるいは、それ以下の扱いでした。 何もしていないのに、すすんで自分達ゆっくりを殺そうという人間さんはあまりいませんでした。 でも、ゆっくりが人間さんの捨てたものを漁ったり、人間さんの物を盗ったりすると、 人間さん達は、全く容赦なく、ゆっくりを殺しました。 実際に何度か、ゆっくりの死体を見ました。 自分は生来臆病なので、そういった危険を冒す事はしませんでした。 “こーえん”と呼ばれる、小さな森のようなところで、 苦い苦い草さんや、小さな小さな虫さんを採っては、食べていました。 たまに木の実さんが取れると、それはごちそうでした。 しかし、寒い季節に採れる食べ物は微々たるもので、 自分とありすの二人きりのときはそれでもなんとかなりましたが、 おちびちゃん達が生まれると、とても足りなくなりました。 結局、ある日の朝早く、私はありすと、そのおちびちゃん達を置いて、そのおうちを出ました。 そして二度と戻りませんでした。また、逃げたのでした。 その日の夕方、自分は再び、街の中をぶらぶらと徘徊していました。 道端に、れいむの家族がいました。 れいむと、三匹のおちびちゃんたちでした。 れいむ達は、道端に紙さんを敷き、その上に座って、大きな声でお歌を歌っていました。 「ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪まったりのひ~♪」 なんだか哀れでした。人間さん達はれいむ達に見向きもしません。 それでもれいむ達は歌うのをやめません。 「れーみゅたちのおうたでゆっくりちていっちぇにぇ!」 「おうちゃをきかしぇちぇあぎぇりゅかりゃ、あまあまをちょーらいにぇ!」 ちびれいむたちも、必死で懇願していました。 「ゆっくりしていってね」 「ゆゆ、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」」」 自分は居ても立ってもいられなくなって、れいむ達に声をかけました。 「ゆゆ、みたことのないまりさだね!」 「おうたをうたっていて、ほんとうにあまあまがもらえるの?」 「ゆゆ、れいむはおうたがじょうずだからね!」 れいむの脇には、なにか硬いものでできた、細長い入れ物が置いてありました。 中を覗いてみると、飴さんが二つに、キャラメルさんが二つ、 それからグミさんとチョコレートさんのカケラが一つずつ入っていました。 なるほど、このれいむ達が、どうにか暮らしてゆけるくらいの食べ物は、手に入るようでした。 「まりさも、れいむのゆっくりしたおうたをきいてゆっくりできたから、これをあげるね」 自分はその硬い入れ物の中に、採って来た木の実さんを一つ、入れました。 「ゆゆ、ありがとう!まりさはやさしい“びゆっくり”だね!」 「「「ありがちょーにぇ!」」」 その木の実さんは、本当はありすにあげるはずのものでした。 でも、ありすの処へは戻れません。だから、れいむにあげたのでした。 このれいむも、番相手とはぐれたようだったので、せめてもの罪滅ぼしに、と思ったのです。 その日の夜は、一人で(以前見つけたのとは別の)こーえんで過ごしました。 一人で眠るのは久しぶりでした。いろいろなことを考えました。 風はまだ冷たくて、どうにかこうにか落ち葉さんを集めて、震えながら眠りました。 次の朝目が覚めて、いつものとおり食べ物を探していると、自分と同じゆっくりまりさに出会いました。 「ゆゆ、みたことのないまりさだぜ!」 まりさも、あのれいむと同じことを言いました。 どうやら野良のゆっくりというのは、飼いゆっくりは言うに及ばず、 野生のゆっくりよりも、見たことのないゆっくりへの警戒心が強いようでした。 きっと、ゆっくりにとってなんの掟も無い街の中で、 うっかりしていると食べ物やおうちを盗られてしまうからでしょう。 しかし自分にそんな考えが無いと知ると、 まりさは随分と打ち解けて、いろいろな事を話してくれました。 家族やおちびちゃんは居ないのかと聞くと、 「まりさはいっぴきおおかみなのぜ!そんなものはすててきたのぜ!」と答えました。 どうやらこのまりさも自分と同じく、番相手やおちびちゃん達を捨ててきたようでした。 まりさは変なしゃべり方をするゆっくりでした。 言葉のお尻に、「のぜ!」とか「だぜ!」とか、そんなものを付けてしゃべりました。 まりさは自分のことを「きっすいののらなのぜ!」とも言っていました。 つまり、まりさの両親も、野良ゆっくりだということなのでしょうが、 どうやらそれは、まりさにとって誇りのようでした。 なぜだかは、よくわかりませんでした。 わたしはこの変なまりさと、一緒に行動することにしました。 一緒に狩りをして、一緒にむしゃむしゃして、一緒に眠りました。 自分とまりさとは同じ種類のゆっくりなので、 お互いゆん愛感情を抱くことはありませんでした。 自分はなんとなく、このまりさと一緒に居るに過ぎないのでした。 それからしばらくしたある日、 まりさが自分に「いいところへつれてってやるんだぜ!」と言って来ました。 随分暖かくなってきた頃で、食べ物も充分に確保できていたので、 自分はまりさの言う「いいところ」へ付いて行くことにしました。 まりさに付いて行ったその先には、一軒の、例の分厚くて茶色い紙さんでできたおうちがありました。 中にはありすが居るのが、遠くからでもわかりました。 勿論、あの、自分が“ひどいこと”をした、あのありすではありませんでした。 「たまにはいきぬきもひつようなんだぜ!」 まりさはそう言いましたが、自分には何がなんだかわかりませんでした。 「あのありすは“ゆんばいふ”なのぜ!」 “ゆん売婦”―――はじめて聞く言葉でした。 まりさの言うゆん売婦とは、食べ物と引き換えに、 すっきりをさせるゆっくりのことでした。 自分はまりさに薦められるままに、そのありすのおうちへ入っていきました。 「いらっしゃい……あら、びゆっくりさんだわ。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 近くで見るとそのありすは、思っていたよりも綺麗なゆっくりでした。 少し年をとっているように見えましたが、 自分なんかよりよっぽど、美ゆっくりといえました。 自分は随分緊張していましたが、ありすの艶々しさに欲求を抑えられなくなり、 結局、すっきりをしました。 「こんなことをして、おちびちゃんができたらどうするの?」 少し落ち着いた自分は、ありすに尋ねました。 「ありすはもともとにんげんさんのところにいたの。そのときに“きょせい”されたのよ」 「“きょせい”?」 「そう。ぺにぺにをきって、まむまむにあついぼうをいれて、おちびちゃんができないようにするのよ」 ありすは悲しい顔をしました。 「だからこうしてすてられても、おちびちゃんのできないありすと いっしょになってくれるゆっくりはいないのよ」 生きるために、と言ったらなんだか美化しすぎているようですが、 このありすがゆん売婦になったことは、 ある意味当然の流れだったのかもしれないと思いました。 きっとありすはこの先もずっと、 そのゆん生が終わるまで、たった独りで生きてゆくのだと、その時は思いました。 帰り際に、ありすは自分を呼び止めて、こう忠告しました。 「あのまりさは“げす”なんだから、あんまりなかよくしないほうがいいわ」 “ゲス”―――ゆっくりにとって最低の称号でした。 ゆっくりがナマモノなら、ゲスはそのナマモノですらない、本当のクズでした。 一緒に居るまりさのことを、こんな風に言われたのは少し心外でしたが、 どういうわけか、自分はそのゲスという言葉を忘れられませんでした。 その後しばらくして、まりさと自分は些細なことでケンカをして、別々に行動することになりました。 まりさと自分は、それまで溜め込んだ食べ物を半分ずつに分けることにしました。 そのとき、まりさの帽子が随分膨らんでいるのに気が付きました。 でも、自分は見て見ぬ振りをしました。 まりさがそんなことをしたので、自分の取り分は僅かになりました。 でも、自分はそれに文句を言いませんでした。 自分はその食べ物を、ゆん売婦のありすの処へ持っていって、あるだけ使ってしまうことにしました。 「こんなにつかってしまって、だいじょうぶなの?」 「しんぱいないんだぜ……ありすはえんりょなくうけとるといいんだぜ」 「でも……もうすぐあめさんのきせつになるわ。とっておかないとたいへんよ」 自分はあのまりさに影響されたのか、知らないうちに変なしゃべり方をするようになっていました。 ありすは自分に少し好意を持っているようで、自分のことをしきりに心配していました。 (自分は元々、ゆっくりありすに好意をもたれることの多いゆっくりでした) 自分はありすのその好意につけ込んで、あるお願いをしました。 「じゃあ、しばらくありすといっしょにいさせてほしいのぜ」 ありすは頬を赤らめました。 すっきりは沢山したのに、なんだか不思議なことにも思えました。 自分はありすが嫌いではありませんでした。嘘ではありません。 しかし、自分のこの求婚とも取れる発言は、 純粋な好意から来たものでなかったことも、否定できない事実でした。 ありすはゆん売婦をして稼いだ沢山の食べ物を、 他のゆっくりと交換して、保存のきく食べ物に代えていました。 自分はよく、ありすから“さーびす”として、“こと”が終わった後、その食べ物を一緒に食べていました。 ありすのおうちに蓄えてある、あの食べ物があれば、かなり長い間ゆっくりできる。 「そういうかんがえはなかった」と言うことは、自分には出来ませんでした。 自分は、ゆん売婦のありすと番になりました。 ありすはゆん売婦を辞め、二人でゆっくりとした毎日を送りました。 しばらくすると雨さんの季節になりましたが、 おうちの屋根には雨さんを弾く、青いものが被せてあったので、平気でした。 自分とありすはときどき、雨さんの音を聞きながら、ただ快楽のためだけに、すっきりをしました。 すっきりをするとのどが渇きます。自分が雨さんを汲んで飲もうとすると、ありすがそれを止めました。 「こっちにもっと、とかいはなおみずさんがあるわ」 ありすは床に開いた穴から、細長くて透明で、それでいて硬い入れ物を取り出しました。 その細長いものの中には、お水さんが入っていました。 「おみずさんなのぜ?」 「“おさけさん”よ」 “お酒さん”―――それが自分のゆん生を大きく変えました。 変なにおいのするそのお水さんは、口に含むとなんとも奇妙な味がしましたが、 ほのかに甘く、しかもだんだんと、ゆっくりとした気分になってくるのでした。 自分は次第に、そのお酒さんの虜になってゆきました。 雨さんの季節が終わる頃には、自分はもうお酒さん無しでは生きてゆけないようになっていました。 はじめのうちは、毎晩、そのうちに、昼夜問わず、来る日も来る日も、お酒さんをあおりました。 そしてだんだん寒さを感じるようになった頃に、沢山あったはずのお酒さんは、底を尽きました。 「ありす、おさけさんがほしいんだぜ……」 「きのうのんだぶんで、もうさいごよ」 絶望的な宣告でした。 「だったら、ここにあるあまあまさんと、こうかんしてこればいいんだぜ……」 「むりよ。おさけさんは“おかねさん”がないと、こうかんしてもらえないわ」 自分はお酒さんが貴重なものだと理解していませんでした。 野菜さんや、あまあまさんや、虫さんといったものは、他のゆっくり達と交換することで手に入りました。 しかし、お酒さんは、人間さんと交換しなければ手に入らないものだったのです。 人間さんは、自分達ゆっくりと、物々交換をしてくれません。 唯一、交換してくれる場合というのは、それはお金さんを持って行った場合だけでした。 「じゃあどうして、ありすはおさけさんをもっていたのぜ……?」 「むかし、かいゆっくりのおきゃくさんがいたのよ。そのおきゃくさんがくれたの」 自分はこの時、半ばやけになっていて、後先を考える余裕など無く、ただお酒さんを欲していました。 そして遂に、ありすに対して絶対に言ってはならないことを言ってしまいました。 「だったら、もういちど“ゆんばいふ”になればいいんだぜ……」 そこから先はハッキリとは覚えていません。 あまりに悲惨な光景だったので、思い出したくないのかもしれません。 ただ、ありすの凄まじい泣き声と、見たことも無い悲しい顔だけは、覚えています。 自分とありすは、別れることになりました。 出て行くのは、またしても自分でした。 ありすは自分(まりさ)のことを、ゆん生で唯一、 自分(ありす)を愛してくれるゆっくりだと、思い込んでいたようでした。 しかし、それはありすにとって勘違いというか、不運というか、気の毒なこととしか、言い様がありませんでした。 自分は、ゆっくりがゆっくりを好きになる―――そういう感情が一切、理解できないゆっくりなのでした。 自分のおちびちゃんすら、愛することのできないゆっくりなのでした。 もし、愛しているゆっくりが居るとすれば、それはたった一匹、他でもない、自分自身でした。 みんなは、そういうゆっくりを、“ゲス”と呼びます。 自分は気が付かないうちに、ゲスになっていました。 いえ、あのれいむを置いて森を出たときから、既にゲスだったのかもしれません。 口調も、行動も、そして長い野良生活でボロボロになった外見も、まさに醜いゲスそのものでした。 完璧な、ゲスでした。他のどのゆっくりよりも、ゲスでした。 ゆっくり、失格。 もはや、自分は、完全に、ゆっくりで無くなりました。 (おしまい) ☆☆☆☆☆ 七割方書いてから、別の作者さんが「ゆっくり失格」というSSを既に発表してらっしゃることに気づきました。 「ひらがなだからゆるしてね!ひどいことしないでね!」 (過去作) ゆっくりいじめ系2909 偏愛 ゆっくりいじめ系2999 おはなありす 選択肢 投票 しあわせー! (16) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「まりしゃ!これからもずっとゆっくりしようね!」 生まれたときから一緒だった。 「まりさ!これとってもおいしんだよ!」 一緒に行動して一緒の物を食べた。 「まりさの髪ってとってもきれいだね!うらやましいよ!」 私の金髪が綺麗だといつもほめてくれた。 「まりさ・・・!がんばってかわいい子供をつくろうね!」 家族になることを決めたときから大家族を目指していた。 「まりさは狩りが上手だね!いつもごちそうありがとう!」 子供が生まれてからは持ち前の運動神経でたくさんの虫や木の実を巣に持って帰った。 「まりさ!だいすきだよ!」 いつも言ってくれた愛の言葉。いっつもいっつも。 私だって好きだった。愛していた。嫌いだったわけが無い。 確かに喧嘩もしたしそっぽ向いたりもしたけど傷つけたいなんて思わなかった。ましてや殺したいなんて思うわけが無い。 思ってなかったのに・・・見捨てた。私は自分の子供を、れいむを見捨てた。見捨ててしまった・・・!!! それに嘘もついた。些細だったはずのその嘘はあの時、子供達にとって唯一の希望だった。 見られもした。顔を見られ、背中も見られた。 違うんだよ。違うんだって。別に嘘は・・・言ったけど・・・あの状況とは違ったから。 仕方ないじゃない・・!私がいてどうなったの?ただ一緒に食われるだけじゃない!助けられるわけが無かったんだよ!! そんな目で私を見ても無駄!呼びかけても無駄!助かろうとすることが無駄! じゃあ私が逃げたことは無駄じゃなかったの? え・・・?なんで?なんでそういうことぉおおおおおおお!!!! 「無駄なわけないよおおおおぉ!!!そんなこと言わないでよおぉおおおおお!!!」 私とれいむは赤ん坊の頃から仲がよくいつも一緒に遊んでいた。 他の子とも遊んではいたけどお互い二人きりで遊ぶのが一番楽しかった。 遊んでいる途中に食べ物を見つけたりすれば二人仲良くそれを分け合った。 れいむは私の周りのゆっくりの中で唯一私の髪をほめてくれた。人間らしい感情だなどと馬鹿にされるかもしれないが そのれいむの言葉は私の体にとても響いた。 ゆっくりという簡単な生き物にとってそういう縁は次第に愛へと変わっていく。 月日が流れるのは早く、私たちが成体へと育った頃にはお互いにそういう意識をし合っていた。 その後の展開は早かった。ご多分に漏れず、私とれいむも将来を誓い合う仲へと発展していた。 交尾、妊娠が終わりれいむの頭に子供が生り始めると私たちは将来の子供達とのゆっくりライフを語り合った。 子供は何匹欲しいだとか、巣はどこに作ろうかとか、人間達に対する意識の持ち方を教えてあげようとか。 突拍子も無い夢や目標を語る私にれいむはいつも微笑んでくれた。それは赤ん坊だった頃から変わること無い笑顔だった。 一ヶ月後、新しく新調した巣には元気な子供達が20匹程騒いでいた。 特別賢くもないが格段に馬鹿なわけでもない、ただ無邪気な子ゆっくり達を見て私は毎日癒された。 母親であるれいむは子供達の世話を必死にこなしていた。 好奇心に負けそうになり巣から出そうになる子供を止めたり、泣き止まない子供に歌を歌ってあげる等 その姿は正に母親の鏡だった。 一方の私はというとひたすら食料集め、狩りに力を注いでいた。 もともと運動は得意だったから普通のゆっくりよりも多くの珍しいごちそうを巣へと運んでいた。 私がそのごちそうの山を運ぶ度にれいむと子供達は目を輝かせて私とごちそうを交互に見比べたのだった。 おいしそうに虫や木の実をほおばる私の家族。 それを見るだけでもまた、私の狩りの疲れはスーッととれていった。 そう、私にとっては家族の幸せが何よりの食事だったのだ。そうだ。そのはずだ。 だからこそ私は体が泥だらけになってもおいしいごちそうを持ってきたのだ。ほらね。間違ってない。 そんな私をれいむはもちろんのこと、子供達も尊敬していた。当たり前だけどね。 「おとーさんはすごいなあ~。こんなにおいしい食べ物をいつもとってくるんだもん!」 「湖で遊んでた子達にまりさ達のお食事の話をしたらみんなだらだらよだれを垂らしてんだよ!」 「ねーどうしておとーさんはそんなにすごいの?」 子供達はいつも私に質問をしてきた。それは大きくなったら私のようになりたいという思いからきていたのだろう。 「ゆっ!それはね~」 軽い気持ちだった。別に信じてもそんな場面が実際にあるわけないとタカをくくっていたのだ。 「おとーさんはれみりゃ二匹をいっぺんに倒してゆっくりと食べことがあるからだよ~!」 「ほんとー!?」 「ゆぅぅ!!すごいよおとーさん!」 「れいむ今度友達に自慢するよ!」 「だめだよ!これを知られるとれみりゃが嫉妬してその子達を襲っちゃうかもしれないからね!この話は誰にも内緒だよ!」 「ゆぅ・・・わかったよ、おかーさんにもいわないよ!」 「誰にも内緒だよ!」 「ゆっ!みんな良い子だね!」 これでこの嘘は誰にもバレずに私は子供達からより多くの尊敬を集めることができる。 親ならば一度はやるであろうそんな行為。ただそれだけのちょっとした嘘だった。 あの日。 私はいつも通り巣からちょっと遠出し、子供達のためにごちそうを集めていた。子供達の為に。 夕方、捕食種も出てくるこの時間にまともなゆっくりは出歩いたりはしない。 だが、私は捕食種からも逃げ切れるだけの逃げ足を持っているのでこの時間ギリギリまで食事を集めていた。 それでももう日も暮れはじめている。ここが瀬戸際だ。 私は口の中いっぱいにごちそうを詰め込み家路につこうとした。そのときだった。あれは、私の5m程先を飛んでいた。 「「「う~う~かりかり~♪」」」 捕食種の代名詞ゆっくりれみりゃ。通称れみりゃ。我がままで団体行動がまともにとれないくせに他のゆっくり種よりも 攻撃性、腕力がある為に捕食種として幅をきかせている、正直腹立たしい生き物だ。 そんなれみりゃが・・三体?どうして? 野生のれみりゃなら一匹でも十分食事は確保できるはず。一匹で行動する方が手慣れているれみりゃが三匹とはいえ群れを作るなんて。 だがその時はそんなことは大して気にならなかった。 重要なのは彼らが私に気づかずにどこかに消えてくれることだった。 息をひそめてれみりゃが見えなくなるのを待った。 人でいう五分程だろうか。れみりゃ達は私の視界から完璧に消えた。 今日も生き残ることができた、緊張から解き放たれた私はふぅと一息吐いた。口の中から虫の足がひょっこりと出てくる。 ああそうだ、このごちそうを早く子供達とれいむに食べさせてあげないと。私も早く帰らないと。 木陰から這い出た私は再び家路につきはじめた。 ここで気づく。今私が進んでいる道。この道は・・・あああこの家路はああああ 今れみりゃ達が進んでいった道だああああああああああ!!!! 私は急ごうとした。れみりゃ達よりも速く家に着こうとした。だけど・・だけどお!!! 進んだられみりゃが前にいるぅ!!三匹もいるから回り込んでたら気配で気づかれるよぉ!!! 私はその場で立ちすくんだ。進めばれみりゃ、止まれば家族が・・・ どうしようどうしようどうすればどうすればどうすれば ああああああああああああああああああああああ 待とう。 今行ったられみりゃに食べられる。そしたら家族には何も伝えられない。そうだ、この判断は正しい。 普通のゆっくりには到底思いつかない冷静な判断だ。そうだそうに違いない。 れいむも子供達も同じことを言うだろう。よし待とう、そうしよう。 こうして私はその場所ですこーしだけゆっくりした。別に怖かったわけではない。これは作戦だ。 家に着いたばかりのれみりゃ達の虚をつく。私ならできる。そうだあれは作戦だったのだ。そうに違いない。 だから私が一眠りしてしまったのも作戦だったのだ。体力温存の為の作戦。そうに違いない。 目を覚ますと外はもう夜だった。綺麗な月が出ていたこと、それが三日月であったことは覚えている。 ただ、そこからどうやって家族のもとへ行ったのかは覚えていない。 気づいた時には体中傷だらけで自分の巣である木から10m程離れた所の木陰にうずくまっていた。 私は静かに巣の様子を覗いた。あのれみりゃ達がここをスルーしてくれていることを願って。 だがそこには奴ら三匹が当然であるかのように立っていた。 そして聞こえる笑い声、叫び声、泣き声。 あぁ、一体何匹が犠牲になったんだろうか。せめてその中にれいむは、れいむだけはいないことを願うしか無い。 暗い夜が三日月の光のおかげで幾らか明るんでいる。 いつもだったら子供達と一緒に軽くこの辺をお散歩しようと思う程のいい夜だった。 だが今日は違う。一緒にお散歩ができる子供達が今や1、2、3、・・・ あれ?全員確認できる。子供達どころかれいむもはっきりと生きている。 じゃあいったいれみりゃ達は何をしているんだ。まさか遊びにきているわけではないだろうに。 この瞬間、私はさっき聞こえていた叫び声と泣き声を完璧に忘れていた。 その二つの声が遊んでいる時に聞こえてくるわけが無いのに。 しかし、その甘い考えも次に聞こえてきた悲鳴で軽く吹き飛ぶことになった。 「いやあああああ!!!おくちがあああああああ!!!」 「う~!お口もっとかぱかぱしろ~!」 その悲鳴はれみりゃの一匹が私の子供の口を限界以上に開こうとした時に我が子から発せられたモノだった。 一体そんなことをして何になるのか。れみりゃは執拗に子供の口をカバの様にしようとしているらしい。 「いはあああああああ!!!おふひがはけふうううううう!!!」 「なれ~!かばさんになれ~!う~!!」 「ふ、ふりだよ~!ほれいほうひらはなひよぉ~!!」 「わっからな~い♪なにいってるのかわっからな~い♪う~!うぅぅぅぅ~!うっ!!」 あぁ!とうとう力任せにれみりゃが子供の口を引き裂いた!れみりゃの手にピピッと餡子が小さく飛び散る。 当然子供はその痛みに黙って耐えられるわけが無い・・ 「いはああああああんんんっっむごああはあああああんんっむごはあああああ!!!!」 「うっう~!ぱかぱかぱかぱか~♪」 叫び続ける子供におかまい無しに口をぱかぱかと閉じたり開いたりさせるれみりゃ。 止むことの無い子供の叫び声がれみりゃの手によって滑稽な声へと変わっていく。 「う~あきた~う~」 もう飽きたのか子供の口の開閉を止めるれみりゃ。そのままここから立ち去ってほしい。 そんな願いが届くわけが無いことは今日彼らを見たときから分かっていた。 「おめめぶちゅ!」 おもむろにれみりゃは口裂けの子供の眼に指二本を差し込んだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 まるでお化け提灯の様に口が開きっぱなしの子供にはそれ以外の叫び声ができなかった。 その痛みが私の耳を通して共感できる程に、その叫び声は痛ましい。 「ぱかぱかがこれでりゃくりゃく~!れみりゃてんさい!う~!!」 眼に指を引っかけることができるので握る手間が省けた、ただそれだけで私の子供の眼を奪ったというのか・・・ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おがあああざあああんはあ゛あ゛あ゛あ゛!!!おどーざあああああんはあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 やめて。呼ばないで。今は助けにいけない。まだそのチャンスはきていない。それが来るまでここで待たなきゃいけない。 「おどおおおおざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 無理、助けにいけない。その場の空気がまだ適した物じゃない。 「どおおおおおおおおおおざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛はあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 無理だって・・・!気づいてよ・・!れみりゃ三匹が戦闘態勢にすぐにはいれるこの・・・並び・・布陣?そう、布陣。 それがしっかりしている今は助けにいけない。今は耐えて・・・! 「どお゛お゛お゛お゛お゛はあああああ・・・・」 声が止んだ。 「う~ねむっちゃった~」 「じゃあつっぎ~♪」 「いやああああ!!どおしでええええ!!!どおしてこんなことするのおおおおおお!!?」 れいむの叫び声が聞こえる!そうだ、何ですぐ食べないでこんなことをわざわざ三匹でするんだ! 「にんげんにきいた~♪」 「たっくさんいじめると~ゆっくりはとっってもおいしくなるって~♪」 「だかられみりゃたちでいじめるの~♪おいしいゆっくりあまあまするため~♪」 そんな・・・私たちにそんな恐ろしい呪いの様な特徴があったなんて・・・ ということはあそこにいる皆今の子供みたいに酷い目にあうことになるの・・? 改めて目を凝らす。 10匹しっかりといる子供の五匹はもう既に大地に寝そべっている。 皆どこかしらからか餡子を少し垂れ流している。 あれで生きてるなんて。余程このれみりゃ達は手慣れているのだろう。 じゃあ、私が今あそこに躍り出ていったら。 まだその時期じゃない。チャンスを待つんだ、チャンスを。 「おねがい!もうやめて!れいむがなんでもしますからぁ!!!」 え?何いってるのれいむ。そんなこと言ったら! 「なんでも?」 「なんでもぉ?」 「なんでも~♪」 あああほら調子乗ってきたじゃないかああああああ やめてれいむ。れいむがいなくなったらそれこそ耐えられない。それだけはだめなんだよ。それだけは。 他の子達は・・・いや、それは言ってはいけない。それも言ってはいけないんだ。 「おくちあ~んしておくち!」 「ゆっ・・!わかったよ!あ~ん!」 「よいしょ!」 あっ、一匹のれみりゃが手近にあった、いや、いた私の子供をぎゅっと掴んだ。 「ぐゆっ!?ななななに!?ゆっくりはなしてね!」 「ぽーい!!」 当然れみりゃは子供の声に耳も貸さない。そのまま思いっきりれいむの口の中に子供を放り投げた。 「うごぇ!!?むぐぅうう!!!」 口に入った途端他のれみりゃがれいむの口を強く抑えた。まさか共食いさせる気じゃあ・・・ 「うー!これかられみりゃ達がれいむをぼこぼこにするよ!お口の中の子を潰さなかったられいむのかち~」 「でも潰したられ見りゃたちの勝ち~!」 「お口から子供だしたら、そのときはすぐにあまあま~ね♪」 「!!!!!!」 れれれれいむをぼこぼこにする!? いや、やめてえ!!そんなことしてなんになるのお!! 「それじゃあすたーとぉ!!!」 「・・・!んぐぅ!んぐっ。んぎぃ!!?んごぉ!!」 「ぼっこぼこ~ぼっこぼこ~れいむのおかおをぼっこぼこ~♪」 「おいしくな~れ!おいしくな~れ!」 三匹がかりで前後左右に均等に拳をれいむに沈めていくれみりゃ達。 口の中の子供に多少の衝撃が伝わるのかうっすらと幼い悲鳴が聞こえてくる。 「ゆぎぃ!?おがーしゃんなにぃ!!?だして!暗いよ!ゆっくりできないし・・ひぃっ!?」 れみりゃの拳がどずんどずんと音を立てる。最初よりペースを上げているのだろう。 人間にとってはとるにたらないその幼い攻撃も、れいむやその子供にとってはまるで鉄球の様に響くのだろう。 「おがーさああん!!くらいよお!!うるさいよお!!だしてええええ!!」 くぐもった声は止まるのをやめない。その情けない声は助けを呼んでいるだけだ。 これだから子供はだめなんだ。私だったら隙をみてすかさずれみりゃ達に攻撃を仕掛けるだろうに。 そう、私だったらあの真正面のれみりゃが手を引いた瞬間に・・・ 「おどーざあああんん!!!おどーざあああああん!!!おどおおおおおおおざああああああああんん!!!!」 「おとーさん・・・そうだよ!おとーさんがきたらお前らなんかやっつけてもらうんだからね!」 「おとーさんは強いんだよ!れみりゃ達なんてぽんぽーんだよ!」 「お前らなんか明日の朝ご飯になっちゃえ!」 れいむが子供達に訴えかける様に睨みつけている。その顔は今まで私ですら見たことが無い程の緊張感と喪失感に満ちている。 れみりゃ達の手が止まった。 「れみりゃたちよりつよい~?」 「ぽんぽ~ん?」 「あしたのあさごは~ん?」 「「「それじゃ~あ!」」」 各々のれみりゃ達が一匹ずつ子供達を握り 「「「今日の夕御飯を~!!」」」 「いや!やめてえ!うんぐ!!?」 それを・・・あああ、れいむの口の中に放り込んでぇえ 「「「はやめにするう~!」」」 三匹でまた殴りはじめたぁ!!! 「うぐぅ!?おぶ!!うぎい!ぐんぐ!!ぐうううううううう!!!」 「いやあ!!暗い狭い!!なんで入ってきたのお!!?びゅ!?」 「いだいいい!ちゅぶれりゅううううう!!」 「おがーさんのおお!!!おがーざんの歯がささっだああああ!!!」 「れいむのりぼんがあ!!おかーさんの喉のんぎゅ!!?べへぇ!?れいむあんこがぁぁぁ!!!」 さっきの4倍の体積がれいむのお口の中に入り込んでる・・・! あれじゃあ子供達どころかれいむの餡子もでてきちゃうよおお!! 動くしか無い。作戦なんてどうでもいい。ただれいむを助けたい!ここで止まったらゆっくりがすたる。 いくぞまりさぁ!これがほんとのゆっくりだまし・・ 「あぁ!おとーさんだぁ!!!」 え 「ゆっ!?おとーさん?」 ばか 「本当だ、おとーさんだあ!!」 バカァ 「おとーさん!はやくれみりゃ達を明日のご飯にしちゃってね!!」 馬鹿馬鹿馬鹿ぁ・・・ 「うっう~♪おっとーさんを~みっけたみっけた~!」 バカアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 倒す前にばれっちゃったじゃないかあああ!!こんなんで倒せるわけないよおおおお!!!! これだから馬鹿な子供はだいっきらいなんだよ!!しね!さっさと死んでね!!! でも、れいむ、れいむをたすけないと!! 「・・・んぐ・・!むぃさぁぁ・・・」 れいむ・・・口を開けられないのにそれでもまりさに助けを求めてるんだね。わかったよ、今すぐ 「おとーさん!おかーさんの口かられいむ達を助けてね!」 「はやく!はやくだしてぇ!」 「でてるぅ!まりさの体からあんこがぁ!!」 「れいむのぉお!れいむのリボンがぁああ!!!」 うるさいよ!!馬鹿な子供達は少し黙っててね! そもそもお前達が騒ぐからタイミングを失ったんだよ!そのままれいむに食べられちゃってね! 「がお~た~べちゃ~うぞ~♪」 うわあああああきたあああああああ!!! 作戦作戦作戦作戦さくせんさくせんさくせんさくせんサクセンサクセンサクセンサクセンskすかうsっkすあkすえかう 「「「がお~!!!」」」 むりいぃいぃぃぃぃ!!!!いやあああああああああああああああああ!!! 「おとーさん!?」 「どーじでにげるのおおおおおお!!!」 「まっておとーさん!まってええええ!!!!」 「・・・・・・!!!!むぃ、むぃさあ!?まりさあ!!」 「あ!おくちあけたあ!えいっ♪」 「ゆぎゅう!?おがあざ・・・」 「ああああああ!!!れいむのおおおおおおお!!!」 走りながら気持ちを落ち着けていくまりさの後ろで二つの悲鳴が聞こえた。 ああ、れいむの悲鳴も聞こえる。でも大丈夫。悲鳴が聞こえるって言うのは生きてるってこと。 今はまず自分の安全の確保だ。 「またみえた!えいっ!」 「いぎゃあ!!いやああああああ!!!」 「おがーざんおくちしべてえ!!!」 「はやくはやくぅう!!!」 「ああああああああああ・・・」 「うっう~あまあm・・・・」 声が次第に遠ざかっていく。待っててねれいむ。きっと助けるからきっと。 「まてぇ~オトーサーン♪」 「朝ご飯にしてみろ~♪」 だれかたすけてぇ!!!だれかぁ!!!! 二匹のれみりゃがまりさをおってくるよぉ!! こんなに頑張ってるのにあの二匹はまるで諦めない。羽で空を飛んでるのに森の木々をすいすい避けていく。 ずるいずるい!まりさもお空を飛んでにげたいよぉ!! 今まりさの願いが叶うなら翼をください!ゆっくりの神様ぁ!! ゆっ!これは・・・!目の前の景色は、神様が願いを叶えてくれたのだろうか。そうこれなら飛べる、とても高く素早く!でも・・・ 崖じゃあ生きられないよぉ!!がみざまぁ!!! 「うっう~おいつめたぞぉ~!」 「めいどのじかんだぞぉ~!」 追いつめられたぁ!! おねがいじまず!子供達はあげるからまりさはたべないでくだざい!おねがいじまず! 「子供達はたべちゃうよ~」 「でもおとーさんもたべちゃうよ~」 やめでえ!!まりさはおいしくないからあ!ウンコみたいな味がするからあ! 「じゃあおとーさんのいじめ方はぁ」 「馬乗りでぼっこぼこ!」 いやあ!だずげでえ!!うぎゅぅ!?なにもみえないよぉ!!? 「あごの方は短くて乗れないからお目めに乗っかってぼっこぼこ!」 いやああああああああああああああ!!!!いやだあああああああああああああああああああああ!!!!! あれ?なぐられない? どうしたんだろ。怖くて目をつぶっちゃったけど今は暗闇を作った元凶も消えてみるみたい。 何か聞こえる。ちょっと目を開けてみよう。フェイントだったらイヤだよぉ・・・ 「・・・・ぎゃ・・・・ああああ・・・・・」 ゆっ!?れみりゃがれいむの上で痛がってる!? 叫んでるみたいだけどれみりゃの両足がまりさの耳をちょうど押さえつけていた何を言ってるのか分からないよ。 あ、どいた。 「いっぎゃああああああ!!!おめめがあぁ!!」れみりゃのお目めがぁ!!!!!」 叫んでいるれみりゃが手で押さえている目を見るとそこはぶくっと大きく腫れている。 一体何が怒ったのか。私は今までに出したことが無い様な大声で叫んだだけだ。それがダメージにでもなったというのだろうか。 その謎は私の足下にある物が解決してくれた。 そこにはお口に入れてたごちそうの数々、山菜、木の実、ダンゴムシ、ムカデ。 「ささったぁ!!おめめに虫さんがささったぁ!!!」 そう、れみりゃの目には私が叫び声とともに勢いよく吐き出したムカデの顎がうまい具合に刺さったのだ。 「う・・うぅ~?う・・うー・・・!」 今までに無い程騒ぎわめく仲間に戸惑いを隠せないもう一匹のれみりゃ。 チャンスだ。これこそ私が求めていた絶好の機会だった。 静かにもう一匹のれみりゃの背後に回った私は絶好の機会の中の最高の機会をじっと待った。 声を出しては終わりだ。だが心配は無い。私はあの子供達の様に愚かでは無いのだから。 そして今、二匹のれみりゃが私と崖の直線上に揃った。よしっ! 「ゆっくりしねええええええええ!!!!」 スッ !?交わされた!馬鹿な!タイミングはばっちりだったのになんで!? 「うっう~ば~か!そんな大声だしたら・・・」 「いだいいいい!!!たずけでえええ!!!」 「う~!じゃま!どいてえ!!うー!!」 眼を押さえるれみりゃがもう一匹のれみりゃにまとわりつく。未だに痛みは引かないらしい。 むしろ激しくなっているのだろうか。その動きはこの場所の地形を全く忘れた動きだった。 「いやー!はなしてえ!!押さないでえ!いやー!!」 「いだいよお!!れみりゃのおめめだれかなおしてえ!!!ああ・・・ああああああ」 「「あああああああああああ!!!!!」」 抱き合ったまま奈落へと吸い込まれていく二匹。 片方が飛ぶことを忘れたままもう一匹に抱きついている為互いに空を飛ばずに仲良く落ちていった。 しかし・・・夢ではないだろうか。このゆっくりまりさである私が捕食種二匹相手に見事に勝ち星を奪ったのだ。 そうこれは、あの、子供達についた、些細な嘘が、現実になった瞬間なのだ・・・ ぃぃぃいやったあああ!!!勝ったよれいむ!みんな!まりさはとってもつよいつよいおとーさんだよ! ゆぅー!これでれいむにも嘘つきだなんて思われないよ!子供達もよりいっそう喜んでくれるだろうね! たのしみだなあ、ゆっゆっー!! 『すごいなあーおとーさん!』 『れいむ今度ぱちゅりーにじまんしちゃお!』 『まりさもおとーさんみたいになりたいよぉ!』 『さすがまりさだね、かっこいいよ!』 ゆっふっふ。皆の喜ぶ姿が目に浮かぶよぉ。 ただいまぁれいむぅ!ゆっ? 現実に戻された。 私の家はいつもより茶色な土壌、気にこびりついた子供達、こちら側に背中を向けて直立しているれいむと一緒に私を出迎えてくれた。 直立・・・いやまて、本当にれいむは生きているのだろうか。既に顔がないということもあり得る。 私は酷く冷静なままれいむの顔をゆっくりと直視しにいった。そこには あった。いつもとは違い歪にぼこぼこになったれいむの顔が私をしっかりと見つめていた。 た、ただいま。れいむ 私はなるべくれいむの体に差し障りの無い様に静かに帰宅の言葉をつぶやいた。 いつもの様にゆっくりしていってねと言っては本能のままに体を動かしてしまうかもしれないと思ったからだ。 今のれいむの状態ではそれだけでもダメージになりかねない。いやあ、賢い私。 「どうして」 ん? 「どうして帰ってきたの」 何を言っているのか。ここは私たちの家だから帰ってきたのだ。 「どうして帰ってこれたの」 また馬鹿なことを、いつも住んでいるんだから道ぐらい当然知っている。いったいどうしたっていうんだ。 「どうしてかえってこれたのおおおおお!!!!」 えっ!? 「あんなに子供達がまりさのことを信頼してたのになんであそこで逃げたのぉ!!! 皆おとーさんおとーさんって必死にさけんでたのにぃ!!!それなのにぃ・・・ぞれなのにぃ!!!!」 ま、まってれいむ。口から餡子が飛んでるよ。 あれ?れいむ、口の中は別に怪我してない。ってことは・・・ 「はじめてきいたよ!まりさ、れみりゃを二匹も倒したことがあるんだって!?」 ゆっ!どうしてしってるの!?そうだよ、さっきそこの崖で見事に私が、 「なんでそんな嘘をこどもたちについたのお!!」 ゆっ!? 「あんな嘘を聞いてなかったらまだ希望を持たずに楽になれたろうに・・・! あんな嘘のせいで子供達は余計な期待を抱いてしまったんだよ!! れみりゃ達に敵うはずのおとーさんがなんで私たちをおいて逃げたの? おとーさんは私たちのことが嫌いなの?って叫びながられいむに聞いてたよ!!!」 いや、嘘じゃないよ!まりさは本当に 「みんな!みんなぁ!!!みんなしんじゃっだああああ!!!れいむのこどもだぢいいいいい!!! まりさが助けにきてくれればどうにかなったかもしれないのにぃ!!!まりさながおとりになってくれればぁ!!!」 な、なんてことを言うの!!ひどいよれいむ!! 「まりさなんて食べられちゃえばよかったんだぁ!!!家族を守れないまりさなんて大嫌いだ!! しねぇ!!!ゆっくりしねえええええ!!!」 なんて言ったの今。 しね?れいむがまりさにむかってしね? 違う・・・そんなことれいむは言わない。そんなひどいことれいむは言わない。 そんな汚いことをれいむはいわない。絶対に言わない,れいむは言わない。 一緒に遊んだれいむは 一緒にごはんをたべたれいむは 髪をほめてくれたれいむは 家族になったれいむは 狩りをほめてくれたれいむは 大好きだと言ってくれたれいむは そんなこと・・・そんなことおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 「おまえはれいむじゃない!!まりさのれいむなんかじゃない!!しねえ!!さっさとしねええ!!!!!」 ぼこぼこのれいむに体当たりをかましその上でストピングを始めるまりさ。 もうれいむ自身に抵抗する力は無かった。 「おまえは偽物だ!かえせ!!本物のれいむをかえせえ!!」 「そう思ってれば!まりさは一生そうやって自分の都合のいい様に生きていけば!!?」 「だまれえ!!れいむの偽物はだまってしねえええ!!!」 「ごめんね、皆・・・こんなおとーさんを選んだれいむが馬鹿だったよ・・・」 「だまれぇ・・・!だまれえええええ!!!!」 「次に生まれるときはぱちゅりーと結婚しようね。」 「だまってよおおおおおおおおおおお!!!!!!」 れいむが潰されているにもかかわらず、まりさとれいむとの会話はまるで電話での会話の様にスムーズに進んだ。 1時間後、まりさの足下には餡子一粒の隆起さえ見当たらなかった。 それでもストピングを続けるまりさは気づかない。気づけない。 「だまれ!だまれ!!だまれえええ!!!」 誰に言ってるのか。少なくとも後ろのモノに対してではなかった。 「だまってってばあああああああ!!!れいむうううううううう!!!!」 崖の下の惨状を見たそのモノはまりさを食料とすら思っていない。 ただ必死に叫び続けるまりさをどうやって苦しめるか考えていた。 そうだ、こいつがはねるのをやめたら・・・ 「だまってえええええええええ!!!おねがいいいいいいいいいいいい!!!!」 半日後、まりさは自分の嘘を完璧に立証することになる。 まりさが勝てたのはやはり二匹までだったのだ。 完 このSSに感想を付ける
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まりさは焦っていた。早く、早く逃げないと。アイツが戻って来る前に。今がチャンスなのだ。 すぐ目の前に森が見える。あそこまで逃げれば、森に入りさえすれば逃げ切れる筈だ。 なのに一向に前に進めない。きっとアイツが魔法をかけたんだ。いくら跳ねても後ろに弾き飛ばされる。 後ろで物音がした。まりさが恐る恐る振り返ると・・・いた。アイツが。不気味な笑みを浮かべて。 動けない。まるで蛇に睨まれた蛙の様に。来ないで!こっちに来ないで! その長い腕で掴まれたまりさ。天高く持ち上げられると、正面にはバケモノの口が。 あああ!食べられる!食べられちゃう!助けて!誰か、誰か助けて!!! 身をよじり何とか逃げ出そうとするまりさ。しかし、必死の抵抗も虚しく、口はもう目の前。 「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 (遭遇) バケモノに捕まる前、まりさは森の奥深くに棲んでいた。大樹が茂る鬱蒼とした森の中、 ぽっかりと開いた小さな空間。その日当たりの良い原っぱがまりさ達のゆっくりぷれいすだった。 そこはとても不思議な場所で、ゆっくりを捕食する動物達も森を出てゆっくりぷれいすに入ろうとはしなかった。 お陰でゆっくり達は毎日、平和なゆっくりらいふを満喫していた。アイツらが現れるまでは・・・ 最初に気が付いたのはまりさだった。まりさは皆から離れ一匹で散歩をしていた。 何かの視線を感じ、森の方へと目をやるまりさ。いる、森の中に、何かいる。 それはまりさが今まで見たどんな動物よりも大きく、二本の足で直立し、こちらの様子を窺っていた。 まりさは不安に思い皆の元へ戻った。群れに戻り、今見たバケモノの事を皆に話す。 群れの大人達が集まり、まりさが見たのは一体なんであろうかと話し合っているその時、 そのバケモノ達は森を出て、のしりのしりとまりさ達の方へと近寄って来た。 「ゆっ!!!」 長のれいむが警戒の声を発する。群れの皆が素早く集まり、子供達を中にして円陣を組む。 初めて見るバケモノ。敵か味方か分からない。しかし、とてもゆっくりできる相手には見えない。 大人達は一斉に顔をぷくっと膨らますと、侵入者を威嚇し始めた。 「でてってね!でてってね!」 「こっちこないでね!こっちこないでね!」 「ゆっくりあっちにいってね!ゆっくりあっちにいってね!」 それでも怯む事無く歩み寄って来るバケモノ達。ついに一匹のれいむが奴等に捕まえられてしまった。 「ゆっ!ゆううううううっ!!!はなしてっ!はなしてねっ!!!」 まりさ達の頭上でバケモノにいじくり回されるれいむ。 ひっくり返され、体のあちこちを触られ、無理やり口を開けられ、口の中を覗かれる。 「やめてね!やめてね!」 「いやがってるよ!やめてあげてね!」 まりさ達の声はバケモノには届かない。れいむを離したバケモノの手はまた次のゆっくりへ。 次々と捕らえられるゆっくり達。しかし、逃げる訳にはいかない。 子供達がいるのだ。逃げ足の遅い子供達を置いて逃げる訳にはいかない。 バケモノに為すがままにされるゆっくり達。バケモノ達は大人達を一通り捕まえて弄ぶと、 飽きたのか森の中へと戻っていった。 「ゆうううううう。きもちわるいよ。」 「れいむたち、いったいなにをされたの。」 (異変) バケモノ達がやって来てから数日後。群れに異変が起きた。最初の犠牲者はありす。 「ねえ、ありす。ほっぺにごみがついてるよ。とってあげるね。」 「ありがとう、まりさ。」 「ゆぅ?とれないよ。なんでだろう?」 ありすの頬に黒い小さなシミができていた。最初は気にも留めていなかったが、シミは日に日に大きくなった。 そして顔の半分が真っ黒なシミに覆われた頃には、ありすの様子もおかしくなり始めた。 まず言葉が上手に話せなくなった。そして高熱を出し、体はぷるぷる震え、満足に動く事もできなくなった。 ありすの様子がおかしい事に気付いたゆっくり達は、懸命にありすを看病する。 怪我をした時の様に、悪い所を皆でぺーろぺーろする。しかし、一向に良くなる気配が無い。そしてついにある日・・・ 「ククク!コココ!キキキ!」 「ありす、しっかりしてね!」 「どうしたの!なにがあったの!」 「ありすのようすがおかしいの!」 「うひゃひょひょひぇひゃひゅひゅひぇひょ!」 「どうしたのありす!しっかりしてね!しっかりしてね!」 「ゆっくりしてね!ゆっくりしてね!」 「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!」 訳の解らぬ奇声を発し、餡子を大量に吐き出し、ありすは絶命してしまった。 ゆっくりの群れに恐怖が広がる。ありすと同じ様に顔にシミのできたものが多数いたからだ。 こんな事は初めてだ。普通ゆっくりが死ぬ時は、皆に見守られながらゆっくりと眠る様に逝くのだ。 皆に送られて安らかに逝く事で、あの世でも永遠にゆっくりできる筈なのに。 これじゃああの世でゆっくりできない。どうしてこんな事に・・・ ありすはとてもゆっくりとした良いゆっくりだった。ありすは何にも悪い事をしていないのに。 だったらなぜ?そうだ、アイツらだ。アイツらが悪いんだ。きっとありすにゆっくりできなくなる呪いを掛けたんだ。 (被虐) 日に日に数が減っていくゆっくりの群れ。昨日はれいむが、今日はまりさが、明日は・・・ そんなある日、例のアイツらがまたやって来た。流石のゆっくりも今回はちゃんと対策を講じていた。 まず大人達がバケモノの前に集まり、奴等の注意を引いている間に子供達を逃がすのだ。 計画通りに事は運んでいる。奴等は子供達に気付いていない。しかし、どうも様子がおかしい。 一向に襲ってくる様子が無い。集まって来たまりさ達の姿に驚き、仲間同士で顔を見合わせている。 どういう事だろう。呪いを掛けた筈なのに、まりさ達がまだ生きているので驚いているのだろうか。 「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」 遠くから声がする。子供達を先導していたぱちゅりーの声。子供達の退避が完了した合図だ。 そうとなればもう長居は無用。大人達は散り散りに逃げようとするが、時既に遅し。 バケモノ達の方が一瞬早く動き始めていた。奴等の長い腕が次々とゆっくり達を捕まえていく。 「いやああああああああ!!!」 「はなしてええええええ!!!」 「だれかたすけてえええ!!!」 必死に逃げ回ったが、結局まりさも捕まってしまった。 バケモノ達はゆっくりを両脇に抱え、ゆっくりぷれいすを後にする。 まりさは泣き叫びながら逃れようともがくが、まりさを挟んだ腕はビクともしない。 そのうち、まりさは泣き疲れて眠ってしまった。 目を覚ました時、まりさは今まで見た事も無い不思議な場所にいた。 周りは一面真っ白。木も草も生えていない。おそらも見えない。その代り頭上に見えるのは丸くて光る不気味な物。 なんだか怖い。酷く落ち着かない。ゆっくりできない。早く逃げないと。 ガチャ、という音に驚き後ろを振り返るまりさ。そこにいたのはまりさを捕まえたアイツ。 手に何やら不思議な物を持ってまりさに近付いてくる。何を考えているのか解らない不気味な笑みが怖い。 バケモノは逃げ回るまりさを捕まえると、無理やり口を開け手に持った物をまりさに咥えさせる。 「ゆげっ!!!にがいっ!!!」 口の中に恐ろしく苦い液体が入って来る。これはきっと毒だ。まりさは慌てて吐き出そうとした。 しかし、バケモノはまりさの口を押さえ、無理やり飲み込ませようとする。 「む、むぐ!むぐぐぐぐぐぐぐ!!!!!」 ゴクン! 飲んでしまった!もう駄目だ。体内の餡子と完全に混ざってしまった。 一旦飲み込んでしまったら、もう吐き出す事はできない。 いやだ!死にたくない!死にたくない!死にたくない! バケモノに怪しげな物を飲まされたまりさだったが、それでもまだ生きていた。毒ではなかったのだろうか。 しかし、生きている事を神に感謝できる様な状況ではなかった。 未だ囚われの身であったし、その後まりさの受けた苦痛は「死んだ方がマシ」と思える程のものだったからだ。 まず最初にまりさは命の次に大切な「すてきなおぼうし」を盗られた。 そして、あろう事かバケモノはまりさの自慢の金髪に手を触れたのだ。 まりさのみつあみがバケモノの手によって解かれる。 まりさの髪が、皆が「すてきなかみがただね!」と褒めてくれた自慢の髪が、バケモノによって汚されていく。 「やめてね!なにするの!まりさのかみにさわらないでね!」 まりさの言う事には一切耳を貸さず、黙々と作業を続けるバケモノ。 後ろに髪を纏めると髪に何かを付けた。きっとまりさを辱める為に何か変な物を付けたのだろう。 周りに群れの仲間達がいないので誰にも見られる心配は無いが、 そんな事は何の慰めにもならなかった。悔しさのあまりまりさは大粒の涙をぽろぽろとこぼす。 次にバケモノはまりさを持ち上げると、自分の顔の横にまりさを持ってきた。 何をするつもりなのだろう?最早抵抗する気も起きない。まりさは諦めて身を委ねる。 バケモノは無抵抗のまりさの頬に自分の頬を重ねる。まさか・・・まさか・・・ 「いやっ!いやっ!!いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 「やめて!やめて!おねがい!はなしてええええええええええええええええええ!!!!!!」 バケモノが何をする気なのかを理解したまりさ。死に物狂いで抵抗する。 犯される!いやだ!こんな奴とすっきりなんかしたくない! ざらざらとした物がまりさの肌に触れ、上下に動かされる度にジョリジョリと気味の悪い音を立てる。 気持ち悪い。大好きなありすのすべすべの肌とは比べ物にならない不快感。当然すっきりなどできる筈も無い。 泣き、叫び、必死に懇願するが、凌辱は止まらない。結局バケモノが満足するまで続けられた。 バケモノによる凌辱が終わった後、帽子を返されどこか別の場所に運ばれたが良く覚えていない。 もう涙も出ない。まりさは放心状態で「あ、あ、あ」と低く呟き続けていた。 目的地に到着したのだろうか。柔らかい物の上に座らせられ、上に何かを被せられた。 今度は何?何をするつもり?もう嫌だ。疲れた。何も考えられない。考えたくない。 まりさは疲れ切っていた。休みたい。眠りたい。ゆっくりしたい。 その時、カチッと音がすると一瞬で辺りが暗くなった。 どんな魔法を使ったのかは知らないが夜になった様だ。夜になったのだからバケモノも眠るだろう。 ああ、やっと終わった。これでゆっくりできる・・・ まりさは安堵の息をつき、静かに目を閉じ眠ろうとしたが・・・ 「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・」 「ゆっ!?」 「ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ・・・」 「ゆゆっ!?」 すぐ横でバケモノが唸り声を上げている。恐ろしい唸り声。怖くてちっともゆっくりできない。 しばらくすると音は止むが、まりさがウトウトして眠りに落ちようとするとまた唸りだす。 まりさはその度にビクッとして目が覚める。眠る事も許されない長い長い夜が続く・・・ (逃亡) どの位時間が経ったのだろうだろうか。一睡もしていないせいで意識が朦朧とする。それにお腹も空いた。 何か食べたい。ああ、やっぱりバケモノもお腹が空くんだろうか。そしてまりさは食べられてしまうんだろうか。 そうだ。きっとそうに違いない。後で食べるためにまりさは生かされているんだ。 そういえば暫く前からバケモノの唸り声を聞いていない。どうして?どこかへ行ったのか? 体の上に被せられた物からモゾモゾと這い出す。そして、まりさの目に飛び込んできたのは・・・ 「ゆ!もりだ!もりがみえる!」 森の中に入る事さえできればきっと逃げ切れる。森の草木はまりさの姿を隠してくれる。 バケモノは?バケモノはどこにいる?辺りを見回すがアイツはいない。どこかへ行ってしまった様だ。 何という好機。逃げるなら今しか無い。まりさは喜び勇んで森へ向け跳ねて行く。しかし・・・ 「ゆ゛っ!!!」 何かにぶつかった。後ろに弾き飛ばされるまりさ。え?なんで?どうして? 目の前には何も無い。気を取り直してもう一度跳ねるが、結果は同じ。 見えない何かにぶつかって、それ以上前へと進めない。 まさか、アイツが魔法を掛けたのか?まりさが逃げられない様に。 まりさは焦りだした。早く逃げないといけないのに。今が、今がチャンスなのに。 何度も何度も挑戦するが、その度まりさは弾かれる。一歩も前に進めずに、顔が真っ赤に腫れただけ。 ガチャ!聞き覚えのある音。まりさは恐る恐る振り返る。するとそこにいたのはやっぱりアイツ。 逃げられないまりさを嘲笑う様な不気味な笑顔。恐怖に足が竦み動けない。 バケモノの長い腕がまりさを掴む。持ち上げられたまりさにバケモノの口が近付いてくる。 あああ!食べられる!食べられちゃう!助けて!誰か、誰か助けて!!! 身をよじり何とか逃げ出そうとするまりさ。しかし、必死の抵抗も虚しく、口はもう目の前。 「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 end 作者名 ツェ 今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」 「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」 「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」 「狂気」 「ヤブ」 「ゆ狩りー1」 「ゆ狩りー2」 「母をたずねて三里」 「水夫と学者とゆっくりと」 「泣きゆっくり」 「ふゅーじょんしましょっ♪」 「ゆっくり理髪店」 「ずっと・・・(前)」 「ずっと・・・(後)」 「シャッターチャンス」 「座敷ゆっくり」 「○ぶ」 「夢」 「悪食の姫」 「中学生のゆっくりいじめ(前編)」 「中学生のゆっくりいじめ(後編)」 「ゆっくりできないあいつ」 「とかいはルール」 「まりさまりさまりさ・・・」 「餡子の記憶」 (蛇足) ぶっちゅーーーーーーーー 「おいーっす。おはよ・・・って、おま、何やってんの!」 「え?何ってちょっとキスを・・・」 「んな事見りゃわかるよ!何でゆっくり相手にキスしてんのかって聞いてんだよ!」 「何でって・・・かわいいじゃん、ゆっくり。かわいい子にはキスしたくならない?」 「ならねーよ。はぁ・・・まあいいや。ところで、そいつか?一昨日森から連れて来たゆっくりってのは。」 「そう。一月くらい前だったかな?森の中で新しいコロニーを見つけたんだ。 定期的に観察しようって事になってさ、それで一昨日見に行った訳よ。もう、ビックリしたよ。 群れに感染症が発生してたんだ。そんで慌てて連れて来てさ、治療したって訳。 最初に見つけて健康チェックした時は特に問題無かったんだけどなあ。」 「?治療が終わったなら何でここにいるの?放してやればいいじゃん。 つーか、まず下に置いてやれ。嫌がってんだろ。かわいそうに・・・」 「え?嫌がってる?」 「ほら見ろよ。離した途端に逃げ出した。あーあー、怯えちゃって。 窓ガラスにも気付かずに逃げようとしてるじゃねえか。お前一体何したんだよ。」 「何って、髪型変えてあげたりとか・・・」 「あ!ホントだ。今気付いた。何でポニーテールになってんだよ。」 「いや、だって俺、ポニテ萌えだし・・・」 「はぁ・・・」 「それから頬ずりしたり。ああ、あと夜は同じベッドで一緒に寝たよ。」 「ひげ面の男に頬ずりされたあげく、一晩中イビキと歯軋りを聞かされた訳か。 そりゃ、怯えもするわ。ゆっくりに同情するよ・・・」 このSSに感想をつける
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過去にwikiを荒らした者を晒していく。 荒らしは遠慮なく規制。ここはオープンなwikiを目指しているので、規制したものも全て晒す。 管理人には全てお見通し。 荒らしリスト ミラ風 このwikiが完成した当初に荒らしまわっていた。 事実しか書かれていない記事をねつ造するなどの害悪。また、身内ネタであるブロリーネタで編集していた害悪。 AC厨 一時期ホモネタで埋め尽くそうとした害悪。 生涯孤独人 自分のページに書かれた事実を全消しする害悪。規制されても何度も復活する。
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シリーズ『ウラドリ』 自殺招いた「ネットいじめ」 今年7月、神戸の私立高校で3年生の男子生徒が自殺し、9月に同級生3人が恐喝未遂容疑で逮捕された事件。背景に浮かび上がってきたのは、『ネットいじめ』の実態でした。 ■名門私立高3年生の突然の死、その背景は・・・ 2007年7月3日。 神戸市須磨区の名門私立高校で、1人の生徒が、自ら命を絶った。 3年生のA君。 放課後には友人たちとフットサルを楽しむ、活発で笑顔の絶えない少年だった。 彼の残した遺書には・・・。 『金を要求されたが払えない。死ぬしかない』 A君の自殺から2ヵ月半後、同級生でフットサル仲間だったB少年が、A君に対する恐喝未遂容疑で逮捕された。 手口は、携帯メールでの脅し。 『5万くらいでええよ。払えないと、クラスのメンバーにリンチさせる』 その後、別の2人の同級生も、恐喝メールの共犯として逮捕された。 逮捕された少年たちは、当初、警察の調べに対し、異口同音にこう話していた。 『メールを送ったのは事実だが、冗談のつもりだった。本気で金を取るつもりはなかった』 捜査関係者は、「少年たちの言葉や態度からは、自分たちの行為が友人を死に追いやったという自覚が全く感じられない」と漏らす。 一方、逮捕された少年の弁護士は、はっきりと容疑を否定する。 【逮捕された少年の弁護士は・・・】 「『お金を取る気は全くなかった』、『これは本心です』と。日頃から、非常に仲が良かった。自殺した直前も親しく話をしていた」 クラスメイトの作文にも、こんな文字が並ぶ。 『仲の良い2人だった』『(メールは)100パーセント冗談』 しかし、捜査関係者によると、逮捕された少年は「最初は冗談のつもりで、最後は本当に金を取れるんじゃないかと思うようになった」などと話している。 徐々に行動をエスカレートさせていった少年たち。 友人からの『金銭要求メール』といういじめを、A君はどう受け止めたのか・・・。 「いじめていたのは、逮捕された少年らだけではなかった」という証言もある。 【A君や逮捕された少年らをよく知る人物は・・・】 「本人が『**君にいじめられとう』って言ってたらしいから。別のグループか知らんけど、帰る時に荷物を持たされていたみたい」 【逮捕された少年の弁護士は・・・】 「逮捕されていない別の少年も、自殺した生徒さんに頻回にお金を要求するメールを送っています。2回どころじゃないです。この生徒さんは、遺書に名前が書かれている」 警察は、別の生徒の立件も視野に入れ、慎重に捜査を進めている。 学校で誰かが手を差し伸べることはできなかったのか・・・? 【自殺直後の教頭会見より】 「全く変わった所はなく、にこやかな感じだったと聞いています」 事件直後、学校はいじめを否定。しかし、生徒の逮捕後に再度アンケートを実施し、前言を翻した。 【逮捕直後の校長会見より】 「いじめがあったと判断を致します。本当に、申し訳ありませんでした」 後手後手に回った学校の対応・・・。 学校がいじめの全容を把握できなかった理由のひとつに、現代のいじめの持つひとつの形があった。 【逮捕直後の校長会見より】 「携帯メールなどネット関係の対応について、私たちは手元に何もありませんでしたので、そういったことが真相の究明を遅らせたかなと・・・」 A君のフットサルグループのホームページは、『5人の仲良しページ』と名付けられていた。 結束の証のはずだったこの場には、次第に誹謗中傷が書き込まれ、陰湿なネットいじめの場と化していったという。
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高3自殺 2同級生も金要求 3分の1「いじめあった」2007/09/22, 産経新聞 東京朝刊, 27ページ クラスに在籍する34人に「いじめがあったと思うか」と尋ねたところ、11人が「はい」と答えたといい、同校は「 いじめがあった」と結論付け、校長が記者会見で謝罪した。同校がいじめの存在を明確に認めたのは初めて。 同校は少年の逮捕後、同級生ら四十数人に対し聞き取り調査を実施。フットサル仲間だった同級生2人が、少年が金を 要求するメールを送る際、「僕の分の金額と名前も入れといて」と言っていた。実際に金銭は受け取っていないという。
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衝動的に書いて見た あんまり虐待してない、というかいじめてない 「おにいさん、ゆっくりたべてね!」 帰ったら部屋の中に妙に不敵な微笑みを浮かべたゆっくりれいむがいた。 部屋はゆっくりがいるにも関わらず荒らされた様子もなく、ただ座布団の真ん中に鎮座している。 「さぁおたべなさい!」 業を煮やしたのかれいむの顔に縦一筋の裂け目が生まれ、そのまま二つに裂けた。 ゆっくりとした生活を送ったゆっくりは同じ生活を過ごした人間やゆっくりにその身を食べさせるというが、 生憎俺はこのゆっくりれいむどころかゆっくりと生活したことさえない。 余りの異常事態に脳がフリーズしている俺を尻目に、異常は更に進行した。 「たべないと……」 なんとれいむの切り口の餡子が盛り上がり…… 「ふえちゃうぞ!」 「な、何ぃぃぃぃぃっ!?」 そのまま再生してしまったのである! ゆっくりオレンジジュースや水に溶いた小麦粉で簡単に再生するというが、これは明らかに異常だ。 というかこんなあっさり再生するもん喰いたくない。 慌てて部屋の奥に向かい、あるものを取ってくる。 「「さぁ、おたべなさい!!」」 取ってきたら更に割れていた。既に断面が盛り上がり始めている。 その半分しかない4つの口に取ってきた物……この夏使わずに取っておいたロケット花火を数本まとめて突っ込む。 そして点火して家の外に全力投球。 「「たべnPANG!!」」 火薬に引火した瞬間、4つの饅頭は全て破裂した。 流石にあれだけ粉みじんになっては再生できないだ……ろ……? 『ふえちゃうぞ!!』 「う、うぉぉぉぉぉぉっ!?」 周辺に撒き散らされた欠片全てから餡子が盛り上がり、それが全て先ほどと同じ大きさのれいむとなって、こちらへ向かって跳ねて来た。 家の前は既に大量のれいむで埋め尽くされた狂気のゆっくりプレイスと化しつつある。 どうすれば良い、このままではこの家どころか世界までこのゆっくりによって埋め尽くされてしまうだろう。 この世界に生きるものとして命に代えてもそれだけは防がなくてはならない……!! だが、どうすれば良い。粉みじんになっても再生する相手をどうやって止めれば……。 『再生しちゃうなら焼いちゃえば良いじゃない』 ゲェーッ、貴方は俺の脳内ギリシア在住の大英雄ヘラクレスさん!! だが確かに的を射ているかもしれない。ヘラクレスさんヒドラをそうやって退治しているし。 何よりまごまごしていては手遅れになる。既に俺の足元に到達した連中は裂け始めているしなッ! そういうわけで俺はさっきロケット花火に点火したライターで今度はれいむたちのリボンに点火したっ! 『ゆっくりたべてね! もえちゃうと……ゆっくりたべれないよ!!』 効いてるッ!効いてるぞッ! 盛り上がりつつあった餡子がそこで止まったッ! 慌てて自分の服にまえ引火しそうな勢いで燃えていくれいむたちの中から離脱する。 家の周りで燃えているれいむは流石に危ないので水をはった桶に火箸で掴んで入れていく。 『ゆっくりたべてね! とけちゃうと……ゆっくりたべれないよ!!』 水に突っ込んだれいむも程なくして水に溶けていく。 周囲に充満する小麦粉と餡子が焼ける良い匂いが充満する中、俺の戦いは終わりを告げたのだ……。 「って、それでめでたしめでたしってわけにはいかんわな……」 周辺には大量の焼き饅頭と真っ黒で粘性のある液体が入った水桶。 延焼こそしなかったが片付けには相当骨が折れるだろうことを考えると素直に喜べない。 いや、マジでどうしよコレ。 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 とか思ってたら周囲に大量のゆっくりが。 今度はれいむだけじゃなくてまりさやらありすやら多種多様だ。 一瞬びびったが子ゆっくりも赤ゆっくりもいる辺り、さっきとは違うようで安心した。 「何だお前ら?」 「ゆゆっ、おじさんこんなにおいしそうなおまんじゅうひとりじめするなんてずるいんだぜ! まりささまたちにさっさとよこすんだぜ!」 どうやら焼かれていたれいむの匂いに釣られてやってきたようだ……普段なら潰すんだけど今日はそんな気力もない。 「あー、はいはい。饅頭はそこで有るので全部だからお前ら食って良いよ。喰い残しはダメな」 「へっへっへ、ききわけのいいのはいいことだぜ!みんな、ぜんぶたべるんだぜ!」 『ゆっくりたべるよ!』 そう言うか言わないかってところでゆっくりたちは焼きれいむに群がってそれを貪り始めた。 「はふはふうっめめっちゃうっめ!」「やっべこれやっべ!」「むーしゃむーしゃ、しあわせー!!」 同族喰いってゆっくりにとっては禁忌のはずなんだが食べて大丈夫なんだろうか。 確かに飾りも髪も燃えてつるっぱげの饅頭になってはいるんだが……そう思いながら家に入ろうとした瞬間、 ふと辺りが静寂に包まれていることに気づいた。 あんだけ喧しく喰っていたゆっくりたちが……静か? 俺が慌てて振り返った瞬間、ゆっくりたちもこちらを向いた。 その顔には縦に一筋の裂け目が…… ~俺たちの戦いはこれからだ!!~ このSSに感想を付ける